熱中症対策が義務化!今、企業に求められる熱中症対策とは?

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熱中症対策が義務化!今、企業に求められる熱中症対策とは?

2026.07.07

法改正・義務化対応

熱中症対策が義務化!
今、企業に求められる具体的な取り組みとは?

近年の日本の夏は、最高気温が災害級となる日も珍しくなくなりました。これに伴い、職場における熱中症での労働災害も深刻化しています。こうした背景を受け、労働安全衛生規則の改正により、企業に対する熱中症対策が罰則付きで義務化されました。

「うちの会社は大丈夫だろう」という油断は、従業員の命を危険にさらすだけでなく、企業の法的責任や社会的信用の失墜を招きかねません。本コラムでは、今回の義務化で何が変わったのか、そして企業が今すぐ取り組べき対策と緊急時の対処法を分かりやすく解説します。

1. 義務化で【何が変わったか】

今回の法改正の最も重要なポイントは、これまで「努力義務」や「指針(ガイドライン)」にとどまっていた職場での熱中症対策が、労働安全衛生規則に基づく明確な「義務」になった点です。

要チェック 義務化の対象となる条件

特に以下の環境下で、「連続1時間以上」または「1日4時間を超える」作業が発生する場合、厳格な対応が義務付けられます。

  • WBGT値(暑さ指数)28度以上
  • または、気温31度以上 の環境

※注意:屋外作業だけではありません
建設業や農作業だけでなく、空調設備のない倉庫、厨房、製造工場といった「屋内」の作業環境もすべて対象となります。

違反した際のリスクと罰則

この義務を怠り、適切な措置を講じなかった場合、労働基準監督署からの是正指導や、作業停止命令を受ける可能性があります。さらに、悪質な違反や労働災害が発生した場合には、労働安全衛生法違反として「6ヶ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」といった刑事罰が科されるリスクもあります。

【最重要の予防策】本格的な夏の前に「暑熱順化」を!

暑熱順化のイメージ

熱中症を未然に防ぐ上で、職場環境や対策物品の整備と同じくらい重要なのが、従業員の身体を暑さに慣れさせる「暑熱順化(しょねつじゅんか)」です。

人間は暑い日が続くと、次第に汗をかきやすくなり、体温を上手に下げられるようになります。しかし、この状態になるには数日から2週間程度かかります。そのため、まだ身体が暑さに慣れていない「梅雨明け直後」や「急に気温が上がった日」に熱中症の発生が急増するのです。

💡 企業が促すべき「暑熱順化」の取り組み
  • 軽めの運動や入浴の推奨: 本格的な夏が来る前に、ウォーキングやシャワーで済ませず湯船に浸かるなど、日常的に汗をかく習慣を従業員に推奨する。
  • 段階的な作業負荷の調整: 休み明けの従業員や新入社員、急に暑くなった日には、いきなり長時間の重作業をさせず、短時間の作業から徐々に身体を慣れさせる。

2. 企業に求められる具体的な取り組み

義務化に対応し、従業員を熱中症から守るために、企業は主に次の4つの軸で体制を整える必要があります。

① 報告体制の整備と周知

体調に異変を感じた本人や、周りで「様子がおかしい」と気づいた従業員が、すぐに上司や管理者に報告・連絡できるルートを明確化しておく必要があります。

② 初期対応・悪化防止マニュアルの策定

熱中症の疑いがある者が発生した際、「誰が」「どうやって」涼しい場所へ移動させ、身体を冷やすのか、どのタイミングで救急車を呼ぶのかといった具体的な応急処置の手順書(マニュアル)を作成します。

③ 作業環境の管理と対策物品の支給

現場の「WBGT値(暑さ指数)」を測定・把握するだけでなく、実効性のある環境整備が求められます。日陰をつくるサンシェードの設置や冷房設備の導入、さらにファン付きの「空調服」や「ネッククーラー」といった冷却用遮熱グッズの支給、いつでも十分に冷たい水分や塩分(塩飴等)を補給・備蓄できる体制の確保など、現場に即した対策を実行します。

④ 従業員への労働衛生教育

定期的な安全衛生教育などを通じ、熱中症の初期症状(めまい、立ちくらみ、大量の汗など)や予防の重要性を従業員に周知します。

【社内事例】実際に弊社が実施している5つの熱中症対策

法律上の義務化に対応することはもちろんですが、弊社では「従業員が毎日安心して健康に働ける環境づくり」を目指し、現場の声を取り入れた具体的な熱中症対策を先駆けて実施しています。その一部をご紹介します。

WBGT値測定
📊 WBGT値(暑さ指数)のリアルタイム測定

気温だけでなく、湿度や輻射熱を考慮した「WBGT値」を現場で定期的に計測しています。基準値を超える危険を事前に察知し、数値に応じた休憩の指示を徹底しています。

空調服・冷風機
👕 空調服の支給と冷風機の設置

作業者へのファン付き「空調服」の導入・支給に加え、作業エリアや休憩スペースには大型の「冷風機」を配備。体感温度を下げ、熱がこもらない環境づくりをサポートしています。

冷水器
💧 冷水器の配置と「給水タイム」の取り組み

水分補給は温度も重要です。現場の動線上に高性能な冷水器を設置し、作業の合間にいつでも冷たく清潔な水を補給できるようにしています。また、1時間毎に「給水タイム」を設け、意識的に水分を取るよう声掛けを行っています。

塩飴
🍬 塩飴・塩分タブレットの常時完備

汗で失われるのは水分だけではありません。脱水症状や足の攣り(つり)を防ぐため、休憩所に「塩飴」や「塩分タブレット」を常備し、各自が手軽にミネラル補給を行える仕組みを整えています。

経口補水液OS-1
🧪 緊急時・脱水時のための「OS-1(経口補水液)」常備

「少し体調がおかしいな」と感じたときや、初期の脱水症状が見られた際に備え、細胞への水分吸収が極めて早い経口補水液(OS-1)を救急キットとして常に冷やしてストックしています。

3. 従業員が熱中症になった時の対処法

熱中症時の対処法イメージ

万が一、従業員が熱中症、またはその疑いがある状態になった場合は、「1秒でも早い初期対応」が命を救います。現場では次の手順を徹底してください。

STEP 1
意識の確認(最重要)

声をかけて、反応を確かめます。
🚨 意識がない・返答がおかしい場合: すぐに119番(救急車)を通報してください!
はっきりとした応答がある場合: STEP 2へ進みます。

STEP 2
涼しい場所へ避難・衣服を緩める

風通しの良い日陰や、クーラーが効いた部屋に移動させます。ベルトやネクタイ、ボタンを外し、衣服を緩めて体内の熱を逃がしやすくします。

STEP 3
身体の冷却(太い血管を狙う)

太い血管が通っている「首の後ろ」「両脇の下」「太ももの付け根(股関節)」に、保冷剤や冷えたペットボトルなどを当てて集中的に冷やします。肌に冷水をかけ、うちわ等で風を送るのも効果的です。

STEP 4
水分・塩分の補給

本人が自力で飲めるようであれば、スポーツドリンクや経口補水液を少しずつ飲ませます。
※注意: 意識が朦朧としている時に無理やり飲ませると、水分が気管に入り窒息する危険があります。自力で飲めない場合は、絶対に口に入れてはいけません。

まとめ:対策は「コスト」ではなく「未来への投資」

職場の熱中症対策は企業の「法的責任」となりました。しかし、これは義務だからやるのではなく、大切な従業員の命を守り、安心して働ける環境を維持するための不可欠な「リスクマネジメント」です。

本格的な夏を迎える前に、自社の報告体制や現場の環境、マニュアルが本当に機能するかどうか、今一度見直してみましょう。