任期満了金をどう使うべきか【民間企業に転職する場合】

任期制自衛官の方は、任期満了のタイミングでお金が支給されます。

任期満了金と言うことが多いですが、正式には“特例退職手当”と呼び、2任期満了すると合計200万円以上支給される高額な手当です。

自衛隊から民間企業に転職する際には、転居などの準備に50~80万円程度のお金が必要になる場合も多く、給与の貯金だけでは足りないと、任期満了金を使用することが考えられます。

今後必要になる支出などを把握し、計画的に使用する為に、

・新生活の準備にかかるお金

・仕事の準備にかかるお金

・初任給が振り込まれるまでの注意点

・任期満了金の使い方

など、任期満了後に民間企業に転職する際に、今後必要となるお金と任期満了金の使い方について図を交えて解説します。

1.自衛官の任期満了金(特例退職手当)の額

2.転職時に必要なお金(住まいの初期費用)

3.転職時に必要なお金(入社後に必要なお金)

4.生活に必要なお金(毎月の生活費)

5.初期費用と・生活費のまとめ

6.最初の給与振り込みまでは貯金で生活する事になる

7.任期満了金は、新生活の準備金に使うと良い

8.まとめ

1.自衛官の任期満了金(特例退職手当)の額

任期制隊員が途中で辞めることなく任期満了まで働いた場合、任期満了時に満了金が支給されます。

1任期の場合、金額は、

陸士(2年)で57万円、海士・空士(3年)で94万円となっています。(2019年1月1日時点)

継続して2任期自衛官として働く場合、2任期目の支給は、

陸士(2年)で144万円、海士・空士(2年)で150万円となっています。

2任期働いた場合は、陸士(4年)で201万円、海・空士(5年)で244万円が合計で支給されます。

このように、任期満了まで勤め上げれば、その後の進路に関わらず任期満了金が支給されます。

任期満了金を計画的に使う為に、満了金の把握は必要です、必ず知っておきましょう。

参考ページ:任期満了金の使い道は?【自衛官を続ける人向け】

2.転職時に必要なお金(住まいの初期費用)

民間企業に転職する際には、転居費用や住居の家賃など、これからの新生活の準備に向けて多くのお金がかかります。

ここでは、自衛隊から民間企業へ転職する際の、住居に必要な初期費用を紹介します。

賃貸物件を借りる初期費用【30~40万円程度】

営内から出るにあたり、これからの住まいを探す必要があります。

敷金・礼金・保証金などの費用の他、最初の月の日割り家賃と次の月の家賃も支払う必要がありますので、下記の初期費用として30~40万円程は必要でしょう。

・最初の月の日割り家賃(家賃~1月分)

・次の月の家賃(家賃1月分)

・敷金(家賃1月分)

・礼金(家賃1月分)

・仲介手数料(家賃1月分)

・火災保険料(2万円程度)

・鍵交換費用(2万円程度)

・その他クリーニング代金、保証会社利用料等

家電の購入費用【15~20万円程度】

家電付きの賃貸物件の場合は費用を抑える事が出来ますが、一から揃える場合、この程度の費用は必要です。

家電量販店などでセットになっている場合は、これよりも安くなる場合もあります。

エアコン:5万円 洗濯機:3万円 冷蔵庫:3万円
テレビ:2万円 炊飯器:1万円 電子レンジ:1万円
照明:1万円 コンロ:1万円 掃除機:1万円

家具などの購入費用【5~10万円】

机などが付属している賃貸物件もありますが、布団やキッチン用品などの家具は、自分で購入する必要があります。

ふとん・カーテン以外の物に関しては、新生活が始まってから揃えても問題ありませんが、ゆくゆくは購入する必要があります。

ふとん:1万円  カーテン:2万円 調理器具:1万円
食器類:1万円 机など:2万円  

引っ越し費用【4~8万円】

距離や荷物の量によって価格は変動します。

一人暮らしの引っ越し料金は通常3~7万円程度ですが、任期制隊員が引っ越しをする3~4月は繁忙期となり2割ほど料金が高くなりますので、料金は4~8万円程度と考えておくと良いでしょう。

3.転職時に必要なお金(入社後に必要なお金)

民間企業への転職する際に、初期費用として見過ごしがちなお金として、入社前後に使うお金があります。

転職して1~2か月位した頃に、「思っていたよりも貯金の減りが早いな」と、思う原因は多くの場合、この費用を事前に見積もっていなかったからです。

入社してからお金に困らないように、必要なお金を事前に知っておきましょう。

通勤交通費・定期代【1~10万円】

通勤交通費・定期代は、通勤経路と通勤手段により決まりますのであらかじめ定期代を調べておく必要があります。

電車・バスを使用する場合は定期代の支払いとなり、自動車・バイクを使用する場合は、通勤距離をもとに会社の規則に則った支給金額が計算されます。

通勤交通費は正社員であれば、ほとんどの場合会社から支給されますが、入社後初月の給与と合わせて支給されるため、後払いになる場合が多いです。

通勤交通費が給与と合わせて振り込まれるまでの期間は、自分で立て替える必要があります。

何か月分の交通費が支払われるのかについては、

・始めの交通費支給で6か月分支払われる

・入社して半年程度は毎月支払われる

など、会社の規則によって違います。

※会社によっては、定期券を購入した時の領収書を提出した時点で、交通費を受け取る事が出来る場合もあります。

仕事着など【1~5万円】

仕事によって、靴、ベルト、かばん、靴下、名刺入れなどを準備する必要があります。

ワイシャツが必要な職場では、何枚か用意する必要があります。

1~2着でも問題はありませんが、平日の洗濯の手間を考えると、1週間分位は準備しておくと良いでしょう。

スーツ着用の仕事の場合は、汚れてしまった場合やローテーションで着る事を考えて、2~3着あると安心でしょう。

転職活動で使用したスーツが1着ある場合は、仕事が落ち着いてから購入すれば良いでしょう。

自動車・バイク【10~50万円】

稀なケースですが、転職先が郊外・地方の場合、通勤や業務の為に自動車やバイクが必要な場合もあります。

どうしても必要、無ければとても不便な場合は任期満了金をもとに、中古車などの購入を考えておきましょう。

4.生活に必要なお金(毎月の生活費)

民間企業に転職すると、自衛隊のような衣食住のサポートが無い為、月々の生活費に負担がかかります。

家賃【月5~9万円程度】

物件のグレードや地域、駅からの距離などによって大きく変動しますが、一人暮らし用のワンルームで5万円以上すると考えて良いでしょう。

首都圏や駅に近い物件の場合は、値段が高くなりますが、地方や交通の便が悪いエリアでは、3~5万円位の家賃の場合もあります。

食費【月2~5万円程度】

自炊の頻度や外食の頻度で大きく変わりますが、月の食費はこの程度でしょう。

自炊をする人であれば月2~3万円程度ですが、ほとんど自炊をしなければ月6万円以上は必要です。

自炊の頻度が高くなればなるほど、自由に使えるお金はその分増えると言えます。

水道光熱費【月1万円程度】

電気・ガス・水道の代金は一人暮らしの場合、月に1万円程度の金額になりますが、夏季のクーラー、冬の暖房で料金が変動します。

都市ガスではなくプロパンガスの場合、さらにプラスして1500円程度高くなる場合が多いです。

5.初期費用と・生活費のまとめ

自衛隊に入隊した時は、初期費用や生活費にここまでお金がかかる事はありません。

事前に初期費用と生活費について、大まかな金額を知っておき、準備することでお金に困る事は無いはずです。

自衛隊では衣食住のサポートがある為、月々の生活費にはあまりお金がかかりませんが、民間企業の場合は生活費を全て自分で支払う必要があります。

自衛官であればお金が無くても、外出せず営内にいれば、あまりお金を使わず暮らす事が出来ますが、民間企業のサラリーマンの場合、衣食住に関してお金が必要です。

転職する事で月々の給与が増えると考えている方もいらっしゃいますが、生活費などで多くのお金を使う為、自由に使えるお金は思うほど多くありません。

6.最初の給与振り込みまでは貯金だけで生活する事になる

自衛官候補生の時もそうであったように、働き始めてから実際に給与が振り込まれるまでにはタイムラグがあります。

給与の支払いについて、ほとんどの企業は月末締め、翌月払いを行っている為、働き始めてから1~2か月程度は貯金や、任期満了金をもとに生活する事になります。

生活や仕事に必要の無い品物などは、転職後にすぐに購入せず、月々の収支が安定してから、無理のない範囲で計画的に購入すべきです。

7.任期満了金は、新生活の準備金に使うと良い

満了金は基本的に貯蓄しておいたほうが安心ですが、新生活の準備に使うのであれば満了金を使っても問題無いと言えます。

これは民間企業で働き、給料を得る為に際に必要な軍資金であり、将来への投資です。

交際費や飲食費のように、使ってしまった後に何も残らないような浪費ではないので、計画的に使う分には問題無いと言えるからです。

8.まとめ

自衛官から民間企業へ転職する場合、初期費用や月々の生活費で多くのお金がかかりますが、任期満了金がある為、初期費用や月々の生活費などが足りなくなるという心配は少ないと言えます。

任期満了金は無駄遣いすることなく、新生活の準備に向けて使う事で、転職後の生活が早く安定するでしょう。

参考ページ:任期満了金の使い道は?【自衛官を続ける人向け】

参考ページ:任期制隊員から民間企業に移るか、自衛隊に残るか|任期制隊員の進路

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