任期制隊員から民間企業に移るか、自衛隊に残るか|任期制隊員の進路

任期制自衛官として働いている自衛官の皆さんは、任期満了後のキャリアについて、

・自衛隊に残り、曹を目指して選抜試験を受けるか

・次の任期も継続して働くか

・任期満了で退職して、民間企業へ再就職するか

など、選択に悩むと思います。

今後のキャリア選択について正解・不正解というものは無く、幅広い情報や視点から、納得のいく決断をする事が、最善のキャリア選択と言えます。

ここでは、任期制隊員から任期満了のタイミングで民間企業への転職を考えている方や、迷っている方に向けて、自衛隊と民間企業の待遇や組織の特徴、注意ポイントなどを説明していきますので、キャリア選択の参考にしてみて下さい。

1.自衛隊の特徴

2.民間企業の特徴

3.自衛隊と民間企業の組織・待遇・環境の特徴まとめ

4.継続任用をするべきか悩んでいる時には

5.任期制隊員から曹を目指すべきか

6.任期制隊員から民間企業へ転職する事を検討中の方へ

7.まとめ

1.自衛隊の特徴

自衛官は規則や規律が厳しい為、民間企業の仕事の進め方や待遇に憧れる方もいらっしゃるかもしれませんが、皆さんが気付いていない自衛官の良い所もたくさんあります。

民間企業への転職を考えている場合は、下記の事柄について再確認したうえで検討すると良いでしょう。

公務員という立場

自衛官は特別職の国家公務員であり、雇用が確保されています。

民間企業は、社会情勢や景気の変動による業績悪化や減産などで会社の収益が悪化した際に、給与やボーナスが減る、事業撤退による人員削減、倒産のリスクなどが考えられます。

自衛隊は公務員である為、急激に年収が低下したり、仕事が突然無くなるという心配もまず無く、福利厚生も充実しています。

民間企業に比べると収入や雇用が安定していると言えます。

衣食住の部分が恵まれている

自衛官は衣食住の部分について民間企業の社員に比べ恵まれています。

訓練や業務で使用する衣料品については一式支給され、食事も営内で食べる事が出来ます。

住居も共同利用ではありますが、営内に生活スペースがあります。

支給された衣料品だけでは足りないことがある、住む場所があるけれどプライベートは無いなどの不満な点があるかもしれませんが、お金を払い全て自前で用意する民間企業の社員に比べれば、恵まれていると言えます。

医療費の優遇がある

自衛官が営内の医務室や、自衛隊病院を利用すれば治療費がかかりません。

自衛官は毎月の給与の1~2%程度が、医療費分として控除されていますので、医療費が無料という訳ではありませんが、一般の方は病院にかかると、3割負担、もしくは全額負担になりますので、かなり恵まれていると言えます。

参考ページ:【5分で分かる】自衛官が再就職の前に知っておくべき社会保険の話

集団生活・人的ネットワークが強い

集団生活であることはデメリットのように感じますが、良い点ももちろんあります。

起床時間や食事の時間などが決められているので、自堕落な生活になる事は考えられません。

業務や生活の中で生まれるちょっとした疑問なども、周囲の自衛官にすぐ聞くことが可能であり、周囲との結束力も民間企業とは比べられないほど高い水準です。

自衛官を辞めてからも、一緒に仕事をした方々と交流がある方も多く、強い人的ネットワークを築く事が出来ます。

将来の仕事、給与が想像しやすい

自衛官は俵給表で階級による給与の幅が定められており、「今の自分の給与は平均的な額だな」、「もうひとつ階級が上がると、この位の給与か」などの予想がつきます。

インターネットなどにも給与の情報が載っており、年齢や階級ごとの給与は予想しやすいです。

参考ページ:防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案

※第195回国会(特別会)提出法案【法律案・理由】のページ

また、自衛官同士の話の中から、「○○が出来る人は昇進するらしい」、「上官が○○に異動したようだ」、「元気なあの人は○○隊に行ったようだ」などの情報を聞くこともあると思います。

・どの位の仕事ぶりで昇進するのか

・どんな人が異動、昇進しているのか

・どんなスキルが求められているのか

・同期はどんなステップで昇進したか

など、自衛官同士で色々な話を聞いたり質問する中で、将来の立場や今後のキャリアについてある程度想像する事が出来ます。

スキル不足の場合サポートがある

体力テストによく落ちる、学校のテストに受からないなど、他の自衛官と比べてスキル面が心配な方でも、本人のやる気がある場合サポートや補習などをしてくれます。

体力テストで合格出来ない場合などは、上官などが体力錬成の特別プランを設定するなどして、体力テスト合格まで面倒を見てくれることも多いと思います。

人によっては面倒と感じる方も居るかもしれませんが、民間企業の場合は、ここまで気にかけてくれる事は少ないです。自衛官ならではの良い所と言えます。

仕事の進め方にルール・前例がある

人によっては窮屈に感じる場合もありますが、仕事の進めるにあたり、ルール・前例がある事で、大きなミスをしてしまう事や判断に迷う事は少なくなります。

また、判断に迷ったとしても上官に報告・相談をする事が出来るので安心です。

2.民間企業の特徴

自衛官として働く方の中には、民間企業への転職に憧れている方もいるのではないでしょうか。

民間企業の特徴について記載しますので、転職を検討している方は参考にして下さい。

業務時間以外で時間に縛られる事はない

自衛官の場合は、基本的に営内で生活する事になりますので、業務時間以外であっても、食事・外出・消灯などの時間にルールが定められています。

勉強の場合は消灯時間が延長されるなど柔軟な対応もありますが、基本的にはルールに則った生活になります。

民間企業では、業務に影響さえ出なければ、業務前後の時間は自由に使えます。

自由な分、自己管理は必須です。

仕事の種類が豊富・希望の仕事に応募出来る

民間企業では、自衛隊の職種には無い仕事も数多くあり、あらゆる仕事を兼任するような職種もあります。

自衛官の場合は試験の時に、陸・海・空の希望を出す事が出来ますが、その後の職種決定については本人の希望や適正などを考慮したうえで決定されます。

このように、自衛官は職種を選んで応募する事は出来ません。

民間企業への転職の際には、求人の職種を狙い撃ちした就職活動が出来るので、希望の職種に就ける確率は高いと言えるでしょう。

会社の業績や個人の成績に給与や賞与が連動する

会社が好業績であることや、個人ノルマなどを達成した場合、利益の一部をボーナスなどで社員に還元する会社が多いです。

反対に業績悪化などがあった場合は、賞与削減などもありえます。

キャリアアップは自分次第

自衛隊には学校があり、就業時間内に専門知識を学ぶ事が出来ます。

民間企業では専門知識について、就業時間内で長い期間かけて丁寧に教えてくれるような機会はほぼありません。

資格・スキルの取得サポートがある企業もありますが、基本的に仕事で必要な知識などは自身で時間を作り勉強する必要があります。

会社からの指示で資格・スキルを取得する場合もちろんありますが、スキルや知識については、何が必要か自分で考えて、自己責任で身に付けていく事が必要とされています。

異動がある

民間企業では環境の変化に適応出来るように、ジョブローテーションなどを行い、社員にあらゆるスキルや知識を取得してもらう、ゼネラリスト教育を行う所が多いです。

社会情勢の変化や売り上げの増減に伴い、社員を適材適所に異動させることによって、利益の最大化を目指しています。

環境の変化や教育の一環として、今までやったことの無い仕事・部署に異動する事も考えられます。

このように、自衛隊のように職種のプロフェッショナルとしてスキルを磨く事が出来ない場合もあります。

指揮系統が会社によって変わる

陸海空によって雰囲気は違うと思いますが、自衛隊は基本的に上意下達で指示を行う組織であり、組織として動く際は上官からの指示が基本となります。

民間企業では上司からの命令だけでなく、同僚や部下からも指示が来る事があり、場合によっては上司が2人・3人、場合によっては0人というケースもあります。

組織や指揮系統は、企業によって大きく違いますので、慣れるまでに時間がかかる事も考えられます。

売上・利益が優先の考え方

民間企業は、顧客へサービスを提供した対価として受け取る売上から、費用を差し引いて利益を手に入れています。

企業の売上の中から、社員の給与も支払われていますので、事業に関係する仕事以外、民間企業では基本的に行いません。

仕事をするにあたり、売上や利益にどのような影響があるか、効率やロスなどを社員全員が考えながら働く必要があります。

参考ページ:民間企業と自衛隊の違いは?

3.自衛隊と民間企業の組織・待遇・環境の特徴まとめ

【自衛隊の特徴】

給与や身分が安定している

衣食住に恵まれている

医療費の優遇がある

集団生活・人的ネットワークが強い

将来の仕事、給与が想像しやすい

スキル不足の場合、サポートがある

仕事の進め方にルール・前例がある

【民間企業の特徴】

業務時間以外で時間に縛られる事はない

希望の仕事に応募出来る

会社の業績や個人の成績に給与や賞与が連動する

仕事の種類が豊富・希望の仕事に応募出来る

キャリアアップは自身で行う

異動がある

指揮系統が会社によって変わる

売上・利益が優先の考え

自衛隊と民間企業には組織・待遇・環境について違いがあります。

自分の考え方や性格に合っている方を選ぶことで、長く働き続ける事が出来ると言えます。

4.継続任用をするべきか悩んでいる時には

将来のキャリアの方向性が定まっていない状態で選択をしてしまうと、ミスマッチが起こる危険があります。

継続任用をして、次の任期満了までに自分がやりたい事、向いていると思う仕事について考えてみるのも良いでしょう。

5.任期制隊員から曹を目指すべきか

自衛官という仕事柄、大変な事もありますが、民間企業に比べて恵まれている事も多く、自身の性格や考え方に合っている場合は、働きやすい環境と言えます。

・将来について悩んでいること

・自分に向いているか分からない

・選抜試験対策

など、上官や任期制隊員から曹に昇進した方など、身近に居る方に相談する事で、客観的な意見が聞けるので新たな気付きがあるかもしれません。

6.任期制隊員から民間企業へ転職する事を検討中の方へ

自衛隊には無い職種に就きたい、新しい環境でチャレンジしてみたいなど、自身の考えが決まっている方であれば、民間企業への転職が良いでしょう。

任期満了で民間企業への転職を狙う方は20代がほとんどなので、企業としても魅力のある人材と捉えています。

現在どのような企業も、次世代を担う若手の人材不足に悩んでいます。

若手の応募を集める為に、経験や資格が求められる求人であっても、20代の場合は未経験でも応募可能という場合や、資格は会社負担で取得できるという場合もあります。

仕事や将来について前から考え準備していた方なら、希望の仕事で内定を貰う事は難しくないでしょう

「曹を目指さないか」など、上官から引き止めがあるとは思いますが、既に決断しており、民間に行く覚悟がある旨をお伝えして理解してもらいましょう。任期満了のタイミングで退職するのであれば、上官も理解してくれるはずです。

ただ、自衛隊が嫌だから辞めたい、民間企業ならどこでも良いなどという理由で転職してしまうと、ミスマッチが起こってしまう危険もあるので、転職先や仕事についてはよく考えておくとよいでしょう。

参考ページ:自衛官の再就職でありがちな3つのミスマッチ事例と仕事の選び方

参考ページ:自衛官の方におすすめ!|再就職の時に使える企業研究の方法

参考ページ:自衛官定年後の再就職の時に使える!自衛官の自己PR方法

7.まとめ

任期制隊員は専門的な業務を一から覚える必要があり、日々の業務も忙しい為、民間企業で働く方が良いと考える方もいらっしゃると思います。

民間企業への転職も、納得の上で行うのであれば問題ありませんが、深く考えずに決めてしまうと、

・自衛官時代の方が、毎月残るお金が多かった

・明確な指示が無いので動きづらい

・将来の給与が想像出来ない

・自衛隊に残った同期の待遇が自分より良いと感じる

・助け合う文化が無くて全て自力で解決しなければならない

など、「自衛隊の方が良かったな・・」と考えてしまうような、後悔の残る転職にもなりかねません。

自衛隊と民間企業の2つの特徴を参考に、自身の性格や希望するキャリアを考慮したうえで、考えると良いでしょう。

参考ページ:任期満了金の使い道は?【自衛官を続ける人向け】

参考ページ:任期満了金をどう使うべきか【民間企業に転職する場合】

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