退職金・若年給付金で老後は安心?|自衛官定年後に減る収入

自衛官は定年退職の年齢が民間企業に比べると早く、

2020年1月の時点では1曹~2佐で55歳となっています

定年年齢

自衛官の中でも、1佐以上や医官などの場合は、定年年齢が伸びていますが、それでもほとんどの自衛官が55歳で定年退職する状況と言えます。

定年退職後は、ほとんどの自衛官が再就職し、安定した給料をもらえ、退職金・若年給付金というまとまったお金も支払われます。

まとまったお金が支払われるので、老後のお金については問題無いように思えますが、自衛官を退職した後、年金支給開始の65歳まで10年ほどあります。

退職後に必要になるお金や、年金受給までの期間の事について現職の時から考えておき、それを踏まえた再就職の計画を立てなければ、老後にお金が足りなくなるという事態にもなりかねません。

今から、自衛官定年後に3段階で減ってゆく収入や、貰えるお金などについて説明しますので、今後のライフプランの検討材料にしてください。

1.自衛官定年後、貰えるお金を知っておく

1.1 若年給付金の支給

1.2 退職金の支給

2.3段階で減る自衛官定年後の収入とは

2.1 【1段階目】自衛官定年後の再就職で給与が減る

2.2 【2段階目】再就職先で60歳を迎え定年となる

2.3 【3段階目】最高雇用年齢が65歳に定めている企業がある

3.3段階で減っていく収入のまとめ

4.退職金+若年給付金が3,000万円位あっても安心しない方がよい

5.良い再就職先とは?月給だけに注目しない!

6.まとめ

1.自衛官定年後、貰えるお金を知っておく

1.1 若年給付金の支給

50代の現職の時は月給40万円位だと思いますが、自衛官を退職した後は月給が20万円~25万円位になる方がほとんどだと言われています。

月給が大きく下がる状況を緩和する為に、定年退職をする自衛官には若年給付金が支給されます。

その額は、曹クラスの自衛官で、1,300~1,500万円程度になると言われています。

※若年給付金の支給金は2回にわたり、支給されます。

このお金により、自衛官を定年退職後、再就職先の月給が20万円位だとしても、若年給付金の補てん分を考えれば、55歳~60歳の間は、民間企業の社員の月給と比べても大きな差は無いでしょう。

若年給付金の注意ポイント

若年給付金は、補てんとして支払われるものです。

60歳までの生活費としての意味で支給されているこのお金を、家のリフォームや自動車購入など、生活費以外の資金に充てる事は避けた方が良いでしょう。

若年給付金の支給タイミングや額などは、下記ページで説明しています。

参考ページ:自衛官の退職金・若年給付金とは?|退職金の失敗例を紹介

1.2 退職金の支給

基本的に退職金は退職日に支給されます。

階級により違いますが、曹長クラスで2,000万円程度、佐官クラスで3,000万円程度支給されると言われています。

退職金の支給金額や税金については、下記ページで説明しています。

参考ページ:自衛官の退職金・若年給付金とは?|退職金の失敗例を紹介

2. 3段階で減る自衛官定年後の収入とは

自衛官定年後に減る給与

自衛官の定年後に再就職をすると、現職の時と比べ給与が減ってしまう場合がほとんどだと言われているので、皆さんは貯金などで何らかの対策や備えを行っている、もしくは予定していると思います。

ですが、再就職先で60歳を超えた後に、どれくらい収入が減っていくものなのか、自衛官定年後の再就職から年金受取まで、順番に段階ごとに考えていきます。

2.1 【1段階目】自衛官定年後の再就職で給与が減る

自衛官・再就職で給与が減る

定年退職後の自衛官の多くは、民間企業へと再就職をします。

再就職先の企業で即戦力となるような経験や、取得の難しい資格などを持っている特殊な場合は、給与が現職の時とほぼ変わらない場合もありますが、大多数の方は給与が大きく下がり、月給20万円~25万円程度になる場合がほとんどです。

60歳までの給与の補てんの意味合いがある若年給付金はありますが、

自衛官を定年になる、55歳の時点で給与が大きく減ると考えておくべきでしょう。

2.2 【2段階目】再就職先で60歳を迎え定年となる

民間企業の定年年齢の割合

参考:厚生労働省 平成29年就労条件総合調査の概況

民間企業の8割近い数が、正社員の定年年齢を60歳で設定しており、60歳以降も働く事を前提に考えると、このタイミングで給与が下がります。

民間企業の正社員の大多数は、60歳で正社員としての雇用が終わりますが、その後も働きたい場合は、雇用契約が正社員から変わり【再雇用・雇用延長】を行い、嘱託社員・契約社員などの形で就業することになります。

この雇用契約の特徴としては数か月~1年毎の契約となります。

再就職歳で60歳を迎えると給与が減る

雇用契約の変化に伴い、各種手当や賞与などの支給が無くなることで、給与が下がる傾向にあり、以前の給与額と比較すると80%程度になると言われています。

※退職自衛官が正社員でなく契約社員として入社した場合も、就業規則や労働契約で【60歳になる時点で雇用条件が変更となる】と定められていることがあります。 その場合、雇用条件の変更(嘱託社員など)により、60歳以前の80%程度の給与になる場合が多いと言われています。

これらの事を考えると、雇用契約問わずに60歳を超えるタイミングで、もう一段階給与が下がり、以前の80%程度の給与になると考えられます。

月の給与に直すと図のような【月給18万円~22万円程度】という数字が現実的な金額と言えます。

2.3 【3段階目】最高雇用年齢が65歳に定めている企業がある

60歳以降も働くには、【再雇用・勤務延長】を行い、嘱託社員や契約社員で働く場合がほとんどですが、

期限なくいつまでも働ける場合は多くありません。

定年後、何歳まで働けるか・勤務延長の場合
定年後、何歳まで働けるか・再雇用の場合

参考資料:厚生労働省 29 年就労条件総合調査の概況

このように、最高雇用年齢を定めている企業が半分以上あり、

そのうちの80%以上は最高雇用年齢を65歳に定めています。

65歳から年金の受給が始まるとは言え、嘱託社員や契約社員として働いている半数以上の方の雇用契約が終了となります。

最高雇用年齢が65歳の場合

最高雇用年齢を65歳で定めている企業の場合、65歳以降も同じ会社で働き続ける事が出来るかについては、企業の方との相談が必要になってくるでしょう。

仮に働き続ける事が出来る場合でも、契約社員や契約社員ではなく、アルバイトやパートなどに雇用契約が変わる事が考えられます。

他に、違う会社でパート・アルバイトの仕事を新たに始めることも出来ると言えますが、65歳での仕事探しは50代の頃に比べると難しいのが現実です。

65歳以降に働ける場合も、月給などでは無く、時給制アルバイトの募集が多い状況ですので、嘱託社員・契約社員の時の給与に比べるとさらに収入は減ることが考えられます。

3.3段階で減っていく収入のまとめ

自衛官定年後に減る給与まとめ

・再就職での収入減少

・60歳定年での収入減少(嘱託社員・契約社員への変更)

・65歳での契約終了(パート・アルバイトへの変更)

これらについては、自衛官を定年退職する前から知っておくべき事実と言えます。

4.退職金+若年給付金が3,000万円位あっても安心しないほうがよい

先ほど説明したように、自衛官を定年退職した時には、曹長クラスで2,000万円程度、佐官クラスで3,000万円程度の退職金が支給され、若年給付金も合計1,300~1,500万円程度支給されます。

退職金と若年給付金を合わせて3,000万円程度のお金が支給されますが、自衛官を退職してから給与が確実に減っていく事を考えると、無駄に使ってはいけない事が分かると思います。

5.良い再就職先とは?月給だけに注目しない!

再就職先を考えるにあたり、このような考えをお持ちの方はいませんか?

「仕事の内容については深く考えていない、とりあえず給与が高い会社に行きたい」

「契約社員や正社員などの雇用形態などは気にせず、求人票の月給だけに注目している」

このように、求人票の月給欄に注目した仕事探しも間違いではありません。

65歳の年金支給までの収入や、老後の為にはお金が必要ですので、お金に注目することはごく自然な流れと言えます。

ですが、求人票の月給だけに注目してしまうと、

・何歳まで働ける雇用契約なのか確認していない

・60歳や65歳のタイミングで、雇用形態や給与が変わるのか確認していない

・月給は高いが、各種手当やボーナスが支給されない

などの重要事項について、確認しないまま応募してしまう事も考えられます。

言い換えると、目先の月給だけに注目してしまい、60歳以降の事を全く考えずに仕事を決めてしまったという事にもなりかねません。

再就職先を考える時には、以下の3つのポイントを確認しておきましょう。

・求人票の雇用形態(正社員・契約社員など)を確認し、何歳まで働けるのか確認する

・60歳や65歳のタイミングで、雇用形態や給与が変わるのか確認する

・月給の金額だけで考えずに、昇給・ボーナスや手当などを含んだ年収で考える

これらの内容について、よく考えるべきと言えます。

60歳以降の雇用形態など細かい条件については、一般的な転職ですと、企業の人事担当に聞く機会が無かったりするものですが、自衛隊の場合は基地援護室の方が企業と連絡を取ってくれます。

基地援護室の方にも相談しながら再就職先をよく考えると良いでしょう。

参考ページ:再就職方法の比較|自衛隊の基地援護室を活用するメリットとは

6.まとめ

再就職先を選ぶにおいて一番大事なことは、【求人票の給与額】のチェックではありません。

・雇用形態(正社員・契約社員)

・60歳以降、雇用形態の変化はあるか

・60歳以降の給与はどれ位か

・最高何歳まで働けるか

などをチェックし、60歳以降の収入や年金受取までの期間なども考え、長く働ける環境か、納得出来る環境かどうかをよく考えることが、再就職先を選ぶうえで一番大事なことと言えるでしょう。

参考ページ:自衛官の再就職|定年退職後の有意義な時間の使い方

参考ページ:自衛官の退職金・若年給付金とは?|退職金の失敗例を紹介

参考ページ:自衛官の再就職|「年収が下がるのはちょっと…」と考える人の3つのリスク