民間企業と自衛隊の違いは?

民間企業と自衛官の3つの違い (働き方編)

自衛隊では定年年齢が早い事や、任期制隊員の場合、数年で任期満了となる事から、定年後・任期満了後に民間企業で働くという方が多いです。

いざ仕事をしてみたけれども、仕事の進め方や考え方、待遇面など思っていたのと違うと悩んでいる人が多く、最悪の場合退職してしまうこともあります。

そうすると自衛官を退職した後も転職を繰り返すことに成りかねませんので、退職前にしっかりと違いについて知っておくことで、転職のミスマッチを減らすことにつながります。

こちらのページでは、ミスマッチの多い3つの違いについて、説明していきます。

仕事内容の違い

民間企業の多くは『株式会社』という企業形態がほとんどです。

株式会社とは、『会社は自己の名において事業を行い、財産を取得・処分し、契約を締結し、借入れを行うことができる。』(Wikipediaより参照)

株式会社とは事業を行う上で、財産(お金や設備、サービス、製品など)を売り買いしながら、契約(売買契約や雇用契約など)を行い、売上利益を計上していきます。これは、金銭や物資の交換を行いながら経済利益を上げる組織であるということです。

簡単に言えば、「お金儲けをしている」というイメージです。

サービスや製品を作り、取引先に提供し、また更に付加価値の高いサービスを提供していくことで、その付加価値の差が企業の利益となります。自衛官が民間企業に勤めるにあたり、一番馴染みが無い部分がこの「付加価値」という考え方です。

それは企業それぞれによって全く違います。例えば、「他の民間企業より、いかに早くサービスを開発するか」、「いかに良い製品を開発するか」、「一円でも安いものを調達する」という考え方になります。

これまで、「いかに早く安く仕事をするか」という考え方で仕事を完了させることをして来なかった人にとっては、戸惑う場合もあります。

背景として、自衛官は「公的利益」のために職務を全うしています。そのため、日本国の平和と独立、安全を保つために仕事をしています。

そのため、仕事一つ一つに、「日本国が利益を出すために費用がこれぐらいかかって~~」というような仕事の仕方はしていません。

また、民間企業でいう取引先からの売上は、自衛官の場合、税金という形で得ています。そこから必要な備品を購入したり、自衛官自身の給料が支払われています。

お金の考え方の違いの一つに、自衛官の場合、「費用をどのように使うか?」という考え方で年間予算を組み、お金を使っていましたが、民間企業のように「いかに利益を出すためにお金を使うか」という考え方が新鮮です。

それは、そのお金の対象が「自分の人件費」だということも含めてです。もちろん、自衛官もこれまで税金の無駄遣いとならないようにきっちり名目を管理して行っていますが、民間企業のお金に対する考え方やはり少し違うようです。

民間企業で、自己の裁量で仕事をする人はぼいません。全ての仕事は上長からの指示で仕事をすることが多く、決められた仕事をきっちりやることが最初の仕事です。そのため、自衛官の強みである「規律を遵守し、職務を全うする」という姿勢のもと仕事に取り組んでいけば、問題ありません。

他業種と比較しても優位に立てる長所になりますので、民間企業でも重宝される人材になり得るでしょう。

給与・待遇の違い

民間企業との給与・待遇の大きな違いは『賞与・ボーナス』に対する考え方です。民間企業は売上があって、利益がある営利団体です。

そのため多くの企業は利益還元型の考え方をもっており、大きな利益が出たら、従業員に多くの還元をします。

逆の場合で、景気の変動や自社サービスや製品の売れ行きが悪く、思うように売上が上がらなかったときになどの理由で、利益が出なかったときには、賞与・ボーナスが少なくなるということです。

大手企業でも、業績悪化により賞与8割カットなどがあり得ます。自衛官の場合、公務員という扱いになりますので、一定の賃金体系に則り決められており、景気が悪くなっても、給与が下がることはありませんので、安定的な仕事として見られています。

賞与に対する考え方が、自分たちで稼いだお金から出ているという考え方が民間企業の考え方ですので、会社の状況をもとに自分たちの給料が決まっているという考え方も新鮮のようです。

払う、もらえる年金の違い

自衛官が再就職するときに知っておくべき年金の種類は3つあります。

・国民年金:国民全員が加入する年金

・共済年金:公務員が加入する年金

・厚生年金:会社員が加入する年金

自衛隊勤務中は「共済年金」という制度に加入しています。しかし、在職中は国民年金に加入しているわけではありません。正確には共済年金として共済組合に支払い、共済組合から一括して国民年金保険料を支払っているので、国民全員が加入する年金を支払っていることになります。

しかし、再就職して民間企業に転職した場合、共済年金のかわりに厚生年金に加入することになります。

図で表すとこのようなイメージになります。

所属加入する年金の種類
自衛官国民年金・共済年金
会社員国民年金・厚生年金

平成27年10月から公務員の年金制度の仕組みが厚生年金制度と同じ仕組みになっていますが、名称としては共済年金となります。

※厚生年金制度の仕組みと共済年金との違い

項目共済年金厚生年金
年齢制限年齢制限なし70歳まで
保険料と給付額の決定手当率制

 

給料月額×1.25

標準報酬制

 

30段階に分けて、各段階ごとに金額を決定

受給期間25年10年

その他、障がい給付要件や遺族年金の給付要件が異なります。移行後の年金制度については、民間企業に転職する前に確認しておくとよいでしょう。

このように仕事が違えば、仕事への考え方や制度が異なりますが、違いを事前に知っておくことで新たな仕事に対する準備ができ、後々「思っていたのと違う」と悩まずにすむでしょう。

再就職に向けて情報収集をしておくことをおすすめしています。

参考ページ:自衛官の年金・基礎知識|共済年金や厚生年金って何?

参考ページ:【5分で分かる】自衛官が再就職の前に知っておくべき社会保険の話

参考ページ:地方公務員共済年金制度研究会 「共済年金は厚生年金に統一されます」