自衛官の年金・基礎知識|共済年金や厚生年金って何?
自衛隊に在職している自衛官の方で、「定年までまだ何年もあるし、自分にはまだ関係ない」と考えていませんか?年金について本腰を入れて調べるのは、定年間近になってからという方は多いと思います。
自衛官は定年から年金受給までの期間が空きます。
「特別職の公務員だし、年金制度はしっかりしているはずだ」という考えで、年金の仕組みについてあまりに知らないでいると、思い描いていた老後の生活に問題が出ることも考えられます。
このページでは年金の基礎知識について、年金の種類から、自衛官の年金など、年金の基礎知識についてイラストを使って解説していきます。
・年金の種類、 国民年金・厚生年金・共済年金とは?
・共済年金から厚生年金になって何が変わった?
・年金の面で、自衛官が考えておくべきこと
・年金がいくらもらえるのか?
年金の種類、国民年金・厚生年金・共済年金とは?


参考:厚生労働省 公的年金制度の概要
【①国民年金】
国民年金は日本国内に住む全ての人は(国籍問わず外国人でも、仕事をしておらず無職であったとしても)自動的に一律20歳から国民年金に加入し、保険料の支払いをすることになります。
また、国民年金の満額受給の為には20歳~59歳までの間、40年間滞りなく保険料を支払う必要があります。自衛官の方も国民年金に加入しています。
※例外として学生や、収入面で保険料が支払えない人には(免除制度)(納付猶予制度)など、保険料の支払いを免除してくれる制度があります。
【②共済年金】
以前は、主に公務員を対象とした年金として、平成27年10月以前に存在していました。
年金制度の図に記載してある、2階部分までの保険料で、3階部分(職域加算部分)の年金が受け取れる年金制度でしたが、厚生年金へ統一されたことにより廃止となりました。
自衛官の皆さんも、現在では2階建て部分までの、厚生年金へ自動的に加入しています。
共済年金加入者の厚生年金への統合について

平成27年度以前に共済年金に加入していた国家公務員、地方公務員、私立教職員、自衛隊の方については、厚生年金へと統合されています。
【③厚生年金】※現在自衛官はこちらに加入
以前は主に会社員の方が入っていた年金ですが、現在は民間企業の会社員、公務員、自衛隊の皆さんなど、組織で働くほとんどの方が加入している年金です。
給料明細などに「厚生年金保険料」という名目で給与から天引きされているので
自分が厚生年金を支払っているというのはすぐに分かると思います。
また、厚生年金に加入している方は、自動的に1階部分の国民年金に加入しています。
現在、自衛官の方は、年金制度の1階部分である(国民年金)と、2階部分である(厚生年金)に加入していることになります。
サラリーマンや自衛官など、階数が上の年金保険料を支払っている方は、年金を受け取る際に、手厚い保障を受けられるようになっています。
次項では、厚生年金と共済年金の違いについて説明していきます。
共済年金から厚生年金になって何が変わった?
平成27年10月より共済年金に入っている公務員や自衛官の方は厚生年金へ自動的に加入することになりました。
その時に、給付内容や保険料、職域部分など、下記の点が変更になっています。
・2階部分の年金が、厚生年金へ統一
・(④職務部分)が廃止、(⑥年金払い退職給付)の創設
・厚生年金の保険料(18.3%)に統一
・厚生年金の給付内容に統一
2階部分の年金が、厚生年金へ統一
2階部分の共済年金と、厚生年金は、収入に応じて支払う保険料は違います。
共済年金は2階部分までの厚生年金と同じ金額の保険料の支払いで、3階部分の(④職域部分)までの年金を、受け取ることが可能でした。
このような、公務員と民間企業の会社員との格差があった為に、共済年金は廃止、厚生年金へと統一されました。
(④職域部分)が廃止、(⑥年金払い退職給付)の創設
3階部分(④職域部分)が廃止となり、同じところに(⑥年金払い退職給付)というものが新たに設定されました。
簡単に言うと、民間企業の(⑤企業年金)と同じような扱いとなります、公務員の企業年金と考えると分かりやすいでしょう。
これからは、民間企業の企業年金と同じように3階部分の保険料を支払い、払った分の年金を受け取る事になります。
平成27年10月以前に退職された方は、加入期間に応じた職務部分の年金が支給されます。
平成27年10月以降、(⑥年金払い退職給付)として保険料の支払いをした方については、(④職域部分)と、(⑥年金払い退職給付)の両方の加入期間に応じた年金がミックスして支給されます。
※公務員の年金は、民間企業の会社員との格差を減らす為、共済年金の時より支払い水準が下がります。ですが、会社員で3階部分の(企業年金)が無い所も多い中、公務員には(年金払い退職給付)として3階部分があるので、民間企業に比べて、まだ恵まれていると言えるでしょう。
厚生年金の保険料(18.3%)に統一
民間企業と比べると、保険料率が0.5%ほど安かったのですが、格差を減らすために民間企業と同じ水準の18.3%に保険料率を統一しています。
厚生年金の給付内容に統一
・未支給年金の給付範囲
・被保険者の年齢制限
・老齢給付の在職支給停止について
・障害給付の支給要件
・遺族年金の転給
などについて、厚生年金の内容に合わせて統一されました。
年金の面で、自衛官が考えておくべきこと
自衛官は、民間企業の会社員と比べて、定年の年齢が早く設定されており、世間一般の定年は60歳前後なのに対して、ご存知の通り自衛官は53歳~56歳となっています。
そのため、60歳までの保険料を支払う為に、再就職をして収入を得るなど、経済的に安定させる必要があります。
また、再就職をしたとしても、再就職先の定年が60歳だった場合は、年金支給開始の65歳まで、5年空いてしまいますので、5年間生活に困らない位のお金を準備する必要もあります。
自衛官は定年が早い代わりに若年給付金というまとまったお金が支給されます。上記のように、年金支給までに長い期間があることから、多くの方は若年給付金だけを頼りにせず、再就職をされているのが現状です。
関連ページ:自衛官の退職金・若年給付金とは?|退職金の失敗例を紹介
関連ページ:退職金・若年給付金で老後は安心?自衛官定年後に減る収入
関連ページ:自衛官の再就職|「年収が下がるのはちょっと…」と考える人の3つのリスク
考えておくべきこと
・60歳まで年金保険料を支払う必要があることを考えておく。
・年金受給は65歳からになると考えておく
・再就職先を決めるにあたり、何歳まで働けるか、60歳以降も働ける仕組みがあるのかという点も考慮に入れる
年金がいくらもらえるか気になったら
老後の生活を考えるうえで、年金がいくら位もらえるのかを知る事は非常に大切です。
自分の年金がいくら位貰えるという事については、一人一人の給与によって年金の額が少しずつ変わりますので、一概に言えません。
気になる方は、厚生課または共済組合の担当者の方に相談するとよいでしょう。
最期に
以上、ご紹介したのは年金に関する基本的な説明です。
自分自身に関わることですから、「知らなかった」とか「よく分からない」からと、年金についてしっかりと考えないと、「思っていたよりも年金の金額が少なかった」など、後で後悔することにもなりかねません。
これを機に、基本的なことを理解しておくと良いでしょう。
年金について、より詳細な情報を手に入れるには、自宅近くや職場近くの年金事務所の相談窓口をご利用されると良いでしょう。
年金事務所は混んでいることがほとんどですが、事前に電話で予約をしてから行くと、相談がスムーズに行えると思います。
関連ページ:自衛官の再就職|定年退職後の有意義な時間の使い方