自衛官の再就職|民間企業の残業の基礎知識と応募前のチェックポイント

民間企業の求人票には、仕事内容や給与、勤務時間という情報以外に加えて、残業や残業代について記載されています。

自衛官は残業代が給与に含まれていることもあり、民間企業とは勤務体系や勤務時間が違います。

民間企業に再就職するにあたり、残業について応募前によく考えておかなければ、実際に入社して働き始めてからミスマッチが起こる危険があります。

民間企業の給与は仕事の忙しさによって残業が変動し、給与も増減します。

「残業をたくさんして稼ぎたい」

「家族との時間を重視しているので、残業は無い方が良い」

など、再就職後の働き方や家族との時間について考える上で、残業について検討しておくことは重要です。

ここでは民間企業に再就職する方に向けて

・残業についての基礎知識

・残業でチェックしておくべきポイント

など、求人票選びや職場見学の段階でチェックしておくべきポイントについて紹介します。

1.残業の基礎知識

2.残業について(法定時間外労働)

3.残業について(法定時間内労働)

4.残業時間について応募の前のチェックすること

5.聞きにくければ援護担当者経由で聞く

6.まとめ

1.残業の基礎知識

求人票に労働時間として記載されている時間、

例えば、9:00~18:00(休憩60分)と記載されている場合、1時間の休憩時間を除いた8時間の事を、

所定労働時間と呼びます。

所定労働時間とは、企業が定めた基本の労働時間であり、入社後には基本的にこの時間で働くことになります。

※交代制勤務の仕事の場合は、2つ以上の時間帯が記載されています。

所定労働時間を超えた分が残業時間となる

所定労働時間が9:00~18:00(休憩60分)の場合、8時間の所定労働時間を超えた分が残業という扱いになります。

会社員の労働時間について労働基準法により

・1日の労働時間は8時間まで

・1週間の労働時間は40時間まで

と決められています。

この時間を超えて働く事を法定時間外労働と呼び、通常の1.25倍以上の割増賃金が支払われます。

自衛官の場合、残業手当込みの給与が支払われていましたが、民間企業では、残業時間分が追加で支払われます。

上記の図のように、1日8時間を超えて働いた分の時間は、割増賃金(残業代)が支払われます。

建設・運輸系の仕事などでは「残業が多いから稼げる」というイメージがあると思いますが、これは月給にプラスして、法定時間外労働として1.25倍の割増賃金が支払われていることも理由の一つです。

※労働基準法で定められた1日8時間・1週間40時間を超える労働については、会社側と従業員側で労使協定を結ぶことにより、残業する事が可能です。ほとんどの会社はこの労使協定を結んでいます。

2.残業について(法定時間外労働)

1日8時間以上働く場合、8時間を超えた分の時間は通常の給与の1.25倍の割増賃金(残業代)が支給されます。

例えば月~金の間で、毎日1時間残業した場合は、1週間のうちに5時間残業となり、通常の1.25倍の割増賃金が月給とは別に支払われます。

土曜日に出勤した場合

月~金曜日の平日に出勤し、さらに土曜日に出勤した場合を考えます。

所定労働時間が9:00~18:00(休憩時間1時間)という仕事であれば、月~金曜日の出勤で、週に40時間働く事になります。

さらに追加で土曜日に8時間仕事をすると、1週間で労働時間が40時間を超える事になります。

この場合、土曜日分8時間の給与は全て、通常の1.25倍以上の割増賃金となり、これが月給とは別に支払われます。

上記の図では平日の残業はゼロになっていますが、平日に1日8時間を超えて働いた場合、土曜日の8時間分の割増賃金が支払われます。

さらに日曜日に出勤した場合(稀なケース)

月~金曜日の平日に出勤し、さらに土曜日・日曜日に出勤した場合を考えます。

所定労働時間が9:00~18:00(休憩時間1時間)という仕事であれば、月~金曜日の出勤で、週に40時間働く事になります。

この場合、さらに追加で土曜日と日曜日に仕事をすると、

・土曜日分の給与は全て、通常の1.25倍以上の割増賃金

・日曜日分の給与は全て、通常の1.35倍以上の割増賃金

上記の割増賃金が追加で支給されます。

ただし、疲れから事故やケガのリスクが高くなる為、7連勤で日曜日まで働くという事はよほどの事が無い限りありません。

一般的には、7連勤で日曜日まで出勤する事になったとしても、代休取得などで休みの調整を行います。

日曜日まで働く事が常態化している会社の場合、

・人不足が深刻である

・仕事が忙しすぎる

という事も考えられますので、応募前の段階でよく考えておいた方が良いでしょう。

3.残業について(法定時間内労働)

前項で説明したように、労働基準法によって労働時間は

・1日8時間まで

・1週間で40時間まで

というように定められており、これを超えた分が1.25倍の割増の残業代となります。

よって、上記の時間を超えない分の残業については、割増の支払いにはなりません。

例えば、求人票に記載されている所定労働時間が9:00~17:30(休憩60分)という場合、

1日の労働時間は7時間30分です。

この条件で1時間残業をした場合は、

・17:30~18:00までの30分を法定時間内労働として、割増無しの賃金(残業代)を月給に追加して支払い

・18:00~18:30までの30分を法定時間外労働として、1.25倍の割増賃金(残業代)を月給に追加して支払うという事になります。

1日の労働時間が8時間を超えないものは1.25倍の割増賃金は支払われません。

全ての残業に対してが、割増賃金(残業代)が支払われる訳では無い事が理解できたかと思います。

※こちらはあくまで法律で定められた最低限支払われるべき基準になりますので、法定時間内労働についても、割増の残業代を支払う企業もあります。

これら残業代についての基礎知識を持ったうえで、残業についてチェックしておく事を下記にて紹介していきます。

4.残業時間について応募の前のチェックすること

・残業代について

・残業時間について

選考時にチェックしておくべきポイントを紹介します。

残業代込みの求人の場合(残業代について)

残業代は1.残業の基礎知識の項目で説明したように、所定の労働時間を超えたものは、月給と別に追加で残業代が支払われます。

ですが、求人によっては、

・みなし残業代

・固定残業代

などの制度により、求人票に

「月〇〇時間の残業代〇万円を含む」と残業代を含んだ月給が記載されている場合があります。

これは営業職やドライバーなど、事業所の外で働き、タイムカードの管理などが難しいケースで採用されており、予め定められている時間分残業したとして、残業代を固定支給する制度です。

メリットとしては

・定められた時間より早く仕事が終わっても、一定の残業代が支給される。

・外回りの仕事など、タイムカードが無いため毎回残業の申請をする必要が無い

ということがあります。

※定められた時間以上に残業した場合は、超えた時間分の残業代が別途支払われます。

求人情報誌などに記載されている求人などでは、

・月給が30万円~(残業代含む)

という、残業時間や残業代について曖昧な記載の求人などもありますので、応募の際は

・「固定残業代はいくらか」

・「みなし労働時間は何時間か」

・「月給(基本給)はいくらか」

などの点を確認しておく必要があります。

※援護室にある求人は基本給・手当・残業代の金額など、何時間分の残業が給与に含まれているのか記載されています。

参考ページ:自衛官の再就職|求人票の見方と注意するポイント

残業ほぼゼロの求人の場合(残業代について)

仕事が変わるタイミングで、残業の無い仕事に就きたいと考える方も一定数いらっしゃいますが、残業時間がゼロの場合、想像しているより手取りの額が低くなってしまい、今までの生活水準の維持が難しくなる事も考えておきましょう。

例えば、月給20万円で残業なしという求人の場合、社会保険料などが引かれると、手取りの給与は16~17万円程度になります。

現職の自衛官の頃と比べ、手取りの給与が大幅に下がることになりますので、残業がほぼゼロの求人に応募する場合、手取りの額については事前にある程度確認をしておき、今までの生活水準が維持できるのか検討すると良いでしょう。

参考ページ:退職金・若年給付金で老後は安心?|自衛官定年後に減る収入

参考ページ:自衛官の再就職|「年収が下がるのはちょっと…」と考える人の3つのリスク

参考ページ:再就職に関して事前に家族と話しておくべき理由とは?(定年自衛官の方向け)

休日出勤の有無について(残業時間について)

2.残業について(法定時間外労働)の欄で紹介していますが、土日などの休日出勤の労働時間も、残業時間として計算されます。

図のように、求人によっては休日出勤の労働時間を含めた残業時間が記載されています。

図のように、一見すると月の残業時間が36時間の求人の方が働きやすいと感じますが、こちらには休日出勤の労働時間が2日分(16時間)含まれている事が分かります。

休日出勤分の労働に関しては割増賃金が支払われますが、求人票で定められている【年間休日】の日に出勤する事になり、「実際の休日数」は減ってしまいます。

求人票の残業時間だけをチェックして、時間が多い・少ないだけで判断するのではなく、休日出勤の有無ついても、面接担当者に確認しておくと良いでしょう。

残業時間の計算方法(残業時間について)

求人票に記載されている残業時間について、実は記載のルールは定められていません。

・全社平均の残業時間が記載されている

・年間の平均残業時間が記載されている

など、会社によって記載している残業時間の根拠が違います。

全社平均の残業時間が記載されている場合、残業が少ない部門と合わせて平均残業時間を算出する事により、実際に働く職場の残業時間より少なく記載される事があります。

例えば、「現場が忙しいが、経理などの仕事は定時で終わり」という場合、求人票に残業時間が20時間と記載されているのに、実際に働く職場では40時間近く残業している、という事も考えられます。

年間平均の残業時間が記載されている場合、繁忙期の残業時間と閑散期の残業時間の平均が記載されている為、繁忙期・閑散期の残業時間がどれくらいなのか、イメージしづらいという事も考えられます。

このように、会社によって平均残業時間の計算方法が違うので、求人票に記載されている残業時間だけで判断するのでは無く、応募や職場見学の際に、会社の担当者に実際に働く職場の残業時間や繁忙について質問し、入社後の働き方についてイメージしておくと良いでしょう。

会社が残業時間を把握・管理出来ているか(残業時間について)

残業がある会社に応募する際には、

会社が残業時間を把握し、管理しているか

という点を確認しておきましょう。

残業については、1.残業の基礎知識の項目で説明したように、所定の労働時間を超えたものは、月給と別に追加で残業代が支払われます。

会社は残業代を計算する為、社員の勤務時間をタイムカードなどで把握していますが、タイムカードの情報をもとに、残業が多くなりすぎない様に同時に管理を行っています。

残業がある求人であっても、会社が残業時間をしっかりと管理している場合は、

「繁忙で残業が多い月の翌月は早めに帰宅出来るように調整してくれる」

「残業の多い部署には助っ人の社員を配置してくれる」

など、残業が常態化しないように調整をしています。

会社が残業時間を管理出来ていない場合、残業が多くなったとしても、

「翌週・翌月の残業を減らす」といった調整が行われない場合があります。

残業分の給与が払われるのは当たり前ですが、残業時間の管理を行っているのかについても、会社の担当者に聞くなどして調べておいた方が良いでしょう。

5.聞きにくければ援護担当者経由で聞く

残業時間に関しては、実際に働かなければ分からない事もありますが、会社の担当者に日々の残業時間や繁忙期などについて確認しておくと良いでしょう。

一般のサラリーマンの転職では聞きづらい事であっても、現職の自衛官の場合は、援護担当者の方を通して企業に確認する事が出来ます。

また、応募前であっても、援護担当者の方を通じて、求人票には記載しきれない、細かい情報を得る事も出来ます。

援護担当の方と相談しながら、会社の担当者から必要な情報を手に入れるようにすると良いでしょう。

参考ページ:再就職方法の比較|自衛隊の基地援護室を活用するメリットとは

6.まとめ

残業を行うと、残業代で月々の月収は増えますが、その分日々の自由な時間は削られていきます。

また、反対に残業がゼロの場合、自由な時間は多くなりますが月収は少なくなります。

・残業代の支給

・自由な時間

という二つを比較するのはもちろんのこと

・休日出勤の有無

・残業の発生する原因タイミングと繁忙

・会社が残業時間を管理出来ているか

など、自分の体力ではどうにもならない残業や、会社の残業に対しての姿勢をある程度把握したうえで、自分や家族の生活スタイルや、生活水準が出来るだけ変わらない仕事を探すと良いでしょう。

参考ページ:再就職に関して事前に家族と話しておくべき理由とは?(定年自衛官の方向け)

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