部品を測るだけ?|元自衛官が寸法測定の仕事をするには

製品の製造を行う工場では、必ず製品を測定する仕事があります。

工業製品は大きさや形が一定でないと、十分な性能を発揮出来ない場合もあり、決められたサイズの通りに製造しないと製品として使い物にならないからです。

測定の仕事は、未経験でも応募できるものがほとんどなので、工場での仕事や、工場で生産している製品に興味がある場合、入社しやすく続けやすい仕事と言えます。

ここでは、測定の仕事内容、給与、向いている人の特徴など、応募する時のチェックポイントなどを詳しく説明していきます。

1.測定とは

2.測定の目的とは

3.測定で使うツールとは

4.職場の環境

5.仕事の進め方

6.入社したらなにから始めるか

7.入社して、しばらくたつと

8.測定の給与

9.測定の仕事に向いている人

10.未経験から応募する時には職場を見ておく

11.まとめ

1.測定とは

測定器具

測定は、金属工業・機械工業などの製造業の現場で行われている検査の一つであり、製品の寸法が設計通りに作られているか、測定器具や測定器を使用して確認する作業です。

製品の大きさをチェックする業務なので、寸法検査・測定検査・測定などと呼ばれています。

寸法の測定時に使用する道具は様々で、製品のサイズや形状などによって使用する道具や手法が変わります。

2.測定の目的とは

測定では

【規格、設計通りに作られているか】

という事を念頭に、製品のサイズをチェックしています

規格の通りに作られているか

ネジ規格

製造業では、JIS規格(日本の規格)やISO規格(国際的な規格)をもとに製品を作っています。

例えばJIS規格で作られているネジは、どの工場で作ったとしても寸法が均一になります。

ネジが必要な際は、サイズだけ合っていればどこのネジメーカーのネジでも安心して使うことが出来ます。

工業製品を作るうえで、定められた規格通りに作る事は必須条件であり、規格外の製品を出荷してしまう事はあってはならないことです。

設計通りに作られているか

製品は製造する前の企画・開発段階で、「使いやすい」「壊れにくい」「安全」という事を想定し設計されています。

設計通りの寸法で製品が作られているか、キズ・凹凸・歪みなどが無いかをチェックすることで、製品の品質を保つことが出来ます。

3.測定で使うツールとは

測定では、人の目では判断が付かないレベルの寸法をチェックする必要がある事から、測定器具を使用して検査を行います。

測定器具(アナログ式)

まずはアナログ式の測定器具を紹介します。

これらは目盛りを読み取る事で寸法を検査する道具です。

代表的な物に

・ノギス

・マイクロメーター

・シクネスゲージ

・ラジアスゲージ

・ダイヤルゲージ

などがあります。

ノギス

ノギス

寸法測定の職場では、よく使用されている測定機器です。

製品を挟む事で寸法を測定する事が出来ます、その他パイプなどの内径を調べる事も出来ます。

0.1ミリ程度の単位で測定する事が出来る為、非常に多くの職場で使用されています。

1ミリ以下の測定は目盛りの読み方が特殊な為、事前に教育を受ける必要があります。扱いが難しいイメージですが、練習さえすればどなたでも使いこなす事が出来ると言えます。

最近では測定値がデジタル表示される物もありますが、使い方の基本は変わりません。

マイクロメーター

マイクロメーター

ノギスよりも細かい単位の測定が必要な場合、マイクロメーターを使用します。

製品をマイクロメーターに挟み、ダイヤルを回転させる事で寸法を測定する事が出来ます。

0.01ミリ程度の単位で測定する事が出来る為、精密機器の製造現場でよく使用されています。

ノギスと同様、デジタル表示されるものもありますが、基本的な使い方は変わりません。

シクネスゲージ

シクネスゲージ

薄い金属板を製品のすきまに差し込み、すきまの寸法を測定する為の道具です。

金属板の厚さが0.01~0.1ミリ程度まで何枚かあり、差し込んだ金属板の厚さによって寸法を測る事が出来ます。

部品のすきまが設計図通りの寸法か調べる場合や、製品の歪みを知る時に使われています。

ラジアスゲージ

ラジアスゲージ

ノギスやマイクロメーターでは測定出来ない、曲線部の寸法を調べる為の道具です。

ラジアスゲージは曲線部の半径を調べる為に使用します。

金属板に寸法が記載されており、金属板を製品の角に当てる事で曲線部の半径を調べる事が出来ます。

ダイヤルゲージ

ダイヤルゲージ

ダイヤルの下に金属の針が付いている測定器具で、台座などに固定して使用します。

針に触れている表面の寸法を調べる事が出来るので、表面のキズや凹みを測定する事が出来ます。

ノギスやマイクロメーターのように、何ミリ・何センチという寸法を測る道具ではなく、

・他の製品と比べてどれ位大きさが違うのか

・基準の大きさからどれくらいずれているのか

・凹みの大きさはどれ位か

という、基準と比べてどれ位の違いがあるかを測る測定器です。

測定器具(デジタル式)

手作業では測る事の出来ない、ごく小さな寸法を測る場合には機械を使用します。

三次元測定機

コンピューターを使用した測定器であり、製品をスキャンする事で寸法を測る事が出来ます。

スキャンの結果を3Dデータとして処理し、製品のねじれや歪みなどの測定を行います。

寸法を測る際に、機械に取り付けられている針が製品に触れる事で寸法を測定する接触式と、レーザーなどで寸法を読み取る非接触式の二つのタイプがあります。

測定の精度は非常に高く、0.001ミリの寸法も読み取る事が出来ます。

一見難しそうに感じますが、機械の操作方法さえ覚えてしまえばどなたでも扱う事が出来ます。

パソコンの基本操作が出来る方であれば仕事内容を覚えるのも苦ではないはずです。

画像測定機

三次元測定機に似たような装置ですが、寸法の読み取りに高精度のカメラを使用します。

スキャンの結果を2Dデータとして処理し、製品表面の細かい傷や色の違いなどの測定を行います。

高精度のカメラで製品の表面を読み取り、寸法を測定します。

三次元測定機と同じで、操作方法を覚えてしまえばどなたでも扱う事が出来ます。

4.職場の環境

測定の職場は細かな測定器具を使用する事から、整理整頓されています。

また、室内作業であることから空調や照明が完備されているケースが多く、比較的過ごしやすい環境です。

職場には測定結果を比較する為にサンプルや画像などが置いてあり、それらと比較する事で合格・不合格の判断を行っています。

作業台で測定を行う

測定検査職場

ノギスなどの測定器を使用する職場では、大抵の場合照明付きの作業台が設置されており、そこで検査業務を行います。

細かな目盛りを読み取るので、照明で手元を明るくして、見間違いの無いようにする為です。

機械を使用して測定する場合は、測定機の置いてある作業台に製品を乗せて検査業務を行います。

測定器具が整理整頓されている

整理整頓

参考:㈱ゼン

測定器具は非常にデリケートな精密機器であることから、少しの衝撃で壊れてしまい、正確に測定する事が出来なくなることがあります。

作業台の上から測定器具が落ちたりしないように、机の横や壁などに測定器具が並べてあります。

測定器具が作業台の上に置いてある事は無く、使う測定器具だけをその都度手に取るスタイルなので、作業台は非常に綺麗です。

空調設備がある

測定の職場ではエアコンなどの空調が整っており、働きやすい環境です。

0.01ミリ以下の寸法を調べるような検査職場では、測定職場の室温によって製品が熱で膨張し、測定値に狂いが出るケースがある為です。

このように高精度の測定を行う職場では、一年を通して一定の室温に設定されています。

5.仕事の進め方

測定の仕事では、製品が設計通りの寸法で作られているかどうか検査を行いますが、測定の仕事ならではの仕事の進め方があります。

寸法の誤差に許容範囲がある

公差

製品は設計通りの寸法で作る事が求められますが、製造の過程で0.01ミリなどのごくわずかな寸法の誤差がどうしても生まれてしまいます。

製造業では、製品を作るうえで生まれてしまう仕方のない誤差を「公差」(こうさ)と呼んでいます。

なので、設計の段階で、使用に問題無い程度の誤差をあらかじめ公差として設定しておき、範囲内の物であれば合格としています。

自働車や飛行機など、高い性能が求められる製品は公差の許容範囲が狭いですが、家電や日用品など、日常の使用に耐える程度の性能で問題無い場合は、公差の許容範囲は広くなっています。

もちろん、多くのお金と時間をかければ公差をゼロに限りなく近づける事は出来ますが、ゼロに近づけるほど製品の販売価格が高額になるため、一つの部品にそこまでの手間をかける事はありません。

検査の職場では、寸法通りの部品だけ合格にするのではなく、

製品によって定められた公差の範囲内の物を全て合格とする仕事の進め方です。

※例外として、宇宙産業や研究開発機関向けなど、超高精度な部品を作る必要がある場合は、多くのお金と時間をかけて誤差をゼロに限りなく近づける場合が多いです。

熱の影響を考えておく

ご存知の通り、物質は熱を加える事によって膨張する性質があります。

ごくわずかな変化ですが、高精度の測定を行う職場では測定結果を左右するほどの影響があります。

精度の高い測定を行う場合は製品が熱の影響を受けないように、測定を行う数時間前から製品を測定室の中に入れ、製品の温度を室温に慣らす必要があります。

また、製品を直接手で触れてしまうと体温によって製品が膨張してしまい、寸法が狂ってしまう事もあります。

製品を測定する時には素手で製品に触れないように、手袋をしたり器具を使用するなど、注意が必要です。

6.入社したらなにから始めるか

未経験から測定の職場に配属された場合、

・製品の説明

・許容される公差の説明

・測定方法の説明

・ノギス・マイクロメーターなどの使い方の説明

・温度による影響の説明

などについて、一通り教育を受けた後に、先輩社員が監督のもと実際の職場で測定を行います。

ノギスやマイクロメーターなどの測定器具は、測定に慣れていないとわずかな単位の寸法のズレが発生する危険がありますので、入社後最初に測定の基礎教育を受ける事から始まります。

そして、測定器具の扱いに慣れてきたら先輩社員が監督のもと実際の職場で検査を行います。

教育中や入社して日が浅い場合は、測定した製品を先輩社員が再チェックしてくれますので、安心して作業する事が出来ます。

7.入社して、しばらくたつと

入社後しばらくたち、検査業務が一人で出来るようになった頃、スキルアップの為にさらなる教育があります。

規格についての教育を受ける

工場で作られる製品の寸法はJIS(日本の規格)やISO(国際的な規格)で定められており、規格の通りに製造する事が求められています。

また、JISやISOの規格で、

・測定の方法

・使用するべき器具

・測定時の条件

なども定められていますので、これらの規格や作業におけるルールについての教育を受ける事になります。

測定器具の精度確認・調整を行う

測定器具の中には、測定値の精度確認や調整が必要なものもあります。

寸法結果に狂いが生じないように、測定器具は定期的に「校正」(こうせい)と呼ばれる精度の確認を行います。

測定値を確認する時には、ブロックゲージと呼ばれている0.0001ミリ単位の高精度で作られた四角形の金属を測定する事で、精度に問題が無いか確認を行います。

測定値に問題があった場合は調整を行い、基準に収まるように測定器具を修正するか、新品に交換します。

校正の頻度は作業前・作業後に毎回行う場合と、一定の期間ごとに行う場合の2パターンあり、測定器具や扱う製品によって違います。

精度の確認は早い段階で教育があり、調整は入社してしばらくしてから教育を受ける事が多いです。

不良品が流れてしまった時の対策を行う

測定の仕事は不良品を発見する事がメインの仕事ですが、人の手で行う為ごく稀に不良品を見抜けない場合もあります。

不良品が流れてしまった場合、

「なぜ見抜けなかったか」

「手順に問題は無いか」

「検査器具に問題は無いか」

「測定環境に問題は無いか」

などを、品質管理の部署の社員と協力して調べる事になります。

不良品を見逃してしまっても、担当作業者に責任を押し付けられることはありません。

※製品の品質を一定に保つための仕組み作りを行う部署を、【品質管理】と呼びます。品質管理の社員は検査の業務をほとんど行わず、品質を守る為の社内環境の整備をメインに行っています。

品質管理の仕事を行う

工場で製品を同じ品質で作るには検査の仕事が欠かせませんが、検査の方法や測定器の配置、作業手順など、製品の品質を一定に保つ為の仕組み作りを行う部署を【品質管理】と言います。

測定の仕事でキャリアを積んだ場合、品質管理の仕事を担当する場合もあります。

品質管理の仕事を担当する場合は、測定の業務はほとんど行わず、社内・社外との生産調整などをメインで行う働き方となります。

職場のエキスパートとして経験を積んだ後に、品質管理の仕事に異動するパターンが多いです。

8.測定の給与

測定の仕事は経験不問の求人が多く、性別・年齢・経験問わず多くの方が応募しています。

正社員の給与は未経験の場合月給18万円~22万円程度の求人がほとんどで、求人の数は多いです。

応募のハードルは低く、未経験からでも入社しやすい仕事と言えます。

電子系や工業系の知識があり、測定と製造を同時に行うような求人の場合は、給与が若干高くなる場合もあります。

9.測定の仕事に向いている人

測定の仕事は、同じ製品を一日に何十個~何百個と検査する場合が多く、コツコツと同じ作業をする事が求められています。

再就職先を探す時は、自分の興味のある業界や製品に関連した仕事を探す事が一般的ですが、目視検査の仕事に興味があり、これから働こうと検討している方は

・手先が器用である

・決められた手順を守れる

・仕事を正確に進められる

・単調作業が苦にならない

など、測定の仕事に自分の性格や適性が一致しているかどうか、という事も考えておくべき重要な要素です。

自衛隊出身の方であれば、ルールを守る事が苦ではない方も多いと思いますが、その他の自分の適性についてはよく検討すると良いでしょう。

参考ページ:工場の検査の仕事を詳しく解説|元自衛官が求人に応募する前に

参考ページ:未経験でも働きやすい?|元自衛官が目視検査の仕事をすると?

10.未経験から応募する時には職場を見ておく

工場で働いた経験の無い方であれば、面接を受けるタイミングなどで事前に職場見学をすると良いでしょう。

職場見学の際は、

・測定開始から終了までのスピード

・計測する単位(1/100ミリなど)

・連続作業時間

・使用する測定器具

・どの様な姿勢で検査しているか

と言う点を案内してくれる会社の担当者に質問するなどして、チェックしておきましょう。

働く前の段階で、「仕事の内容が自分に合っているか」、「長く働き続ける事が出来るか」、という点を深く考える事で、入社後のミスマッチを防ぐことが出来ます。

面接の際に職場見学が出来る会社は多いので、求人に応募する段階で職場の見学が可能か担当者に聞いておくと良いでしょう。

定年退職や任期満了が控えている自衛官の方であれば、援護担当の方が企業に職場見学の打診をしてくれるはずです。

参考ページ:再就職方法の比較|自衛隊の基地援護室を活用するメリットとは

参考ページ:攻めの再就職|自衛官の職場見学の方法とチェックすべきポイント

11.まとめ

工場の測定業務は未経験からでも入社しやすく、働きやすい環境である事が多いですが、性格や適性が合っていないと早期の離職に繋がる危険もあります。

仕事を長く続ける為には、自身の性格や適性が合っているかよく考えたうえで仕事に応募し、職場見学をしたうえで入社の決断をすると良いでしょう。

参考ページ:工場の検査の仕事を詳しく解説|元自衛官が求人に応募する前に

参考ページ:未経験でも働きやすい?|元自衛官が目視検査の仕事をすると?

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