自衛官の再就職|求人票の見方と注意するポイント

定年や任期満了での退職を控えた自衛官の皆さんは、再就職活動の時に、就職援護室やインターネットの求人サイトで求人票を見て、その求人票の中から応募する企業を選ぶことになります。

ですが再就職先を選ぶ際、企業の知名度や給与のみを気にして、待遇やその他の条件面をよく確認しないで入社してしまうと、「聞いた事ある企業だったから、待遇が良いと思っていたが、実際は違った・・」「想定していた月給に届かない・・」など、後々後悔する危険もあります。

後悔しない再就職の為に、実際に基地援護室に提出している弊社の求人票をもとにチェックポイントを説明していきますので、応募先を決める時の参考にしていただければと思います。

1.求人票のチェックポイント

2.まとめ

退職自衛官向け求人票

1.求人票のチェックポイント

1.1 所在地・就業場所

所在地には本社の住所が記載されており、就業場所は、実際に働く場所や事業所が記載されています。

本社と事業所が同じ場所にある場合もありますが、企業の規模が大きく、各地に工場や事業所がある場合は本社と就業場所が違う所になる場合もあります。

本社と就業場所が違う場合、企業によっては面接を、就業場所ではなく本社で行う場合もありますので注意しましょう。

1.2 採用担当者

採用担当者

企業の採用担当者の情報が記載してあります。

連絡先が記載してありますが、基地援護室経由の応募の場合は、援護担当の方が企業に連絡を取ってくれます。

1.3 職種

求人票の職種欄

営業・設計・組立・整備・メンテナンスなど、職種が簡潔に記載されています。

職種にカタカナが入っているなど、一目見ただけでは何の仕事か分からないような求人も多く存在していますので、見た目のイメージだけで応募する・応募を控えると言う判断をしないことが重要です

(例)

「カスタマーサポート事務」→「コールセンター業務」

「住環境コンサルティング」→「住宅の営業」など

定年まで長く働ける職場を探す為にも、求人票を見る時には、職種が自分の興味のあるものか、イメージ通りの仕事なのかを、職務内容にも目を通してよくチェックしておきましょう。

1.4 雇用形態・雇用期間

雇用形態の欄
雇用期間の欄

雇用形態については、正社員・契約社員・パート労働者・派遣社員などがあります。

雇用期間や社会保険に関しては、下記の表を参考にして下さい。

雇用期間の説明

一般的には自衛官の再就職の場合は、ほとんどが正社員もしくは契約社員で新しい仕事に就くと思いますが、給与や待遇については、雇用形態によって大きく変わります。

特段の理由が無ければ、雇用が安定しており待遇の良い正社員での再就職を目指すべきですが、家族の状況や親の介護などの問題によっては、正社員以外の雇用形態がマッチすることも場合によっては考えられます。

再就職先を定年退職した後のライフプランまでよく考え、納得のいく雇用形態での再就職を目指すと良いでしょう。

参考ページ:自衛官の再就職|定年退職後の有意義な時間の使い方

1.5 年齢等

年齢制限の欄

基本的には、求人票に年齢制限を設けることは禁止されています

ですが下記のような場合は、例外となります。

年齢制限の例外

自衛官定年後の再就職先の場合は、定年年齢だけでなく延長雇用の年齢なども確認しておくと良いでしょう。

1.6 職務内容

職務内容の欄

仕事の内容が具体的に記載されています。

職種に目が行きがちですが、職務内容の欄には、実際に扱う商品や仕事手順などが詳しく記載されており、仕事の進め方がある程度分かるようになっています。

職務内容の欄の記載が少なく、一言しか書いていない企業に比べると、分かりやすく多くの情報を記載している企業の方が、親切であると言えるでしょう。

1.7 必要な経験・免許・学歴

必要な経験・免許

応募の為に必要な経験や免許について記載されています。

一般的に経験や免許が必要な求人の場合、企業は即戦力を求めている傾向があります。

不問の求人の場合は、仕事が未経験からでも覚えられるものであるか、教育がしっかりしている場合が多いと言えます。

企業が求めている経験や免許を持っていないが、どうしてもこの企業を受けてみたいと言う場合は、基地援護担当の方に一度相談してみるのも良いでしょう。

1.8 事業所の概要

会社の概要

事業内容や従業員数、創立年月日や資本金などが記載されており、歴史がある会社なのか、最近出来た会社なのかなどを知る事が出来ます。

概要を詳しく知る為に、合わせて企業のホームページなども見ておくと良いでしょう。

関連ページ:資本金?創業って?|民間企業のホームページの見方

1.9 就業時間

就業時間の欄

勤務開始から勤務終了までの時間です。

1日8時間の企業が多いですが、7時間30分や7時間45分などの企業もあります。

土曜日出勤がある企業の場合は、勤務スケジュールが下部に記載してあります。

また、日勤・夜勤などの交代勤務を取り入れている職場であれば、1か月の勤務スケジュールの流れなどを、援護担当者に聞いておくと良いでしょう。

1.10 休憩時間

休憩時間

休憩時間に関しては、1日の労働時間が6時間以上の場合は45分の休憩が義務付けられており、1日の労働時間が残業も含めて8時間を超える場合は、60分の休憩が義務となっています。

【8時間を超える場合】なので、1日の労働時間が8時間ちょうどで、残業が0の職場の場合、休憩時間が45分という事もあり得ます。

※そのような職場で急遽残業となった場合には、足りない15分をどこかのタイミングで休憩することになります。

1.11 休日

休日

休みの曜日や週休何日か、などが書いてあります。

ちなみに、週休2日という記載は、必ず毎週2日休みがある訳ではありません。

週休2日   月のうち、1回は週に2日休みがある

完全週休2日 毎週2日休みがある

※いずれの場合も土日祝休みとは限りませんので、休日の曜日をよく確認しておきましょう。

完全週休2日の場合、基本的に休みの曜日が決まっている企業が多いですが、シフト制などの場合は曜日が変動する場合もあります

1.12 時間外

残業時間

月平均の残業時間が記載されています。

この残業時間はあくまで平均なので、繁忙期や閑散期がある場合、残業時間が大きく変わる場合もあります。

また、事業所全体での平均残業時間を記載している場合もありますので、詳しい時間について知っておきたい場合は援護担当者に聞いておくと良いでしょう。

1.13 賃金

給与
給与2

給与の項目です。

支払総額の8割程度が手取りの金額になると言われています。

a.b.c と書いてある項目について説明していきます。

・a 基本給(毎月必ず支払われる基本給)

・b 手当(毎月必ず支払われる手当)職務手当など

・c 手当(条件に該当する場合支払われる手当)扶養手当、残業手当など

残業が0だとしても、a+bの金額は毎月必ず支払われます。

職種によっては、bの欄に固定残業代(営業手当・30時間の残業代を含む)などが含まれている場合がありますが、これは残業が発生しても、発生しなくても支給されるものです。

参考ページ:自衛官の定年後の給与とは?同年代の給与相場を開設!

1.14 手当

手当

残業をした場合など、条件に該当する場合支払われる手当です。

家族手当や資格手当などがこれに該当します。

資格手当などは、会社によって

資格を持っていれば毎月手当が出る

資格を取得した時に一時金が出る  など

支給の仕方が違うので、よく確認する必要があります。

1.15 交通費

交通費

交通費の金額や支給の条件に付いて記載されています。

上限がある場合は基本的に超えた分の金額は支払われませんので、自宅からの交通費をチェックしておきましょう。

バス、車を使用した場合の交通費が出る場合には、片道何キロ以上、ガソリン代は1キロ〇〇円とするなど、会社によって規定が異なりますので確認しておきましょう。

1.16 昇給・賞与

昇給賞与

昇給額や、賞与の前年支払実績が記載されています。

昇給がある場合には、金額や昇給のタイミングについてもチェックしておきましょう。

昇給・賞与については前年の実績なので、会社業績や査定によって上下する・場合によっては支給が無いという事を頭に入れておきましょう

1.17 加入保険

社会保険

社会保険と呼ばれているものです。

雇用保険(失業時に給付を受けることが出来る)

労災保険(業務・通勤中の事故・ケガに対しての保険)

健康保険(医療機関を利用する時に保険から支給される)

厚生年金(定年後に定められた年齢で年金が支払われる)

上記の4つは、フルタイムの求人で、ある程度の社員数を抱える企業であれば基本的に全て加入となります。

逆に1つでも加入していないような企業の場合は、小規模な事業所である場合があるので、応募する場合は注意が必要です。

社会保険の加入日は基本的に入社日となりますが、会社によって毎月1日に加入する場合もありますので、応募時に確認しておきましょう。

参考ページ:【5分で分かる】自衛官が再就職の前に知っておくべき社会保険の話

1.18 退職金制度・定年

退職金制度

退職金制度の有無について記載されています。

退職金がある場合でも、支給には最低〇年間勤務する必要がある、と記載してある場合には、定年までにその期間働かないと支給はされません

自衛官定年後の再就職の場合、54歳から60歳位までの間しか働かないので、退職金が出ない事が多いと言われています。

また、退職金が出る場合でも額は少ないと言われています。

2.まとめ

再就職先を選ぶ時に、「この企業で働きたいと思っていた」「〇〇の仕事にずっと興味があった」という方であれば退職の数年前から、自分自身で企業や業界のことについて自分で調べ、仕事の厳しいところや給与の相場などを既に知っていると思います。

ですが「とりあえず有名な企業で働きたい」「給与さえ高ければ職種は何でもいい」など、漠然とした考えの中で再就職先を探す方も少なくないと思います。

再就職先を選ぶ時に、

・有名な企業なので

・給与が高いので

・手当があるので

などの情報だけで応募する企業を選び、入社してしまうと、入社後に「自分に合わない」という理由で退職してしまう危険があります。

自衛官の再就職で一番大事な事は、有名な企業や給与の高い企業に入社する事では無く、定年まで長く働き続けることが出来る、自分に合った企業に入社する事です。

入社した後に後悔しないように、求人票に載っている企業の知名度や給与だけに注目せず、全ての情報を見て、自分の働き方をイメージしておくようにしましょう。