自衛官の再就職|年間休日125日?製造業の休日の特徴とは
年間休日の日数は企業によって【95~125日】など、幅広く設定されています。
例えば、
【年間休日95日の求人票】
【年間休日125日の求人票】
という2種類の求人があった場合、同じ月給でも年間の出勤日数が30日変わってしまいます。
このように、自衛官の再就職先選びでは、求人票の「仕事内容」「給与」「勤務地」などの条件に目が行きがちですが、休日の日数のチェックはとても大切です。
ここでは、再就職先として製造業の仕事に興味を持っている方に向けて
・製造業の休日の特徴
・製造業の働き方の特徴
など、製造業の仕事に応募する前のチェックポイントについて紹介します。
1.製造業の年間休日とその他業界の平均
2.製造業の働き方、休み方の特徴
3.製造業では工場カレンダーというスケジュール表がある
4.製造業で休日出勤がある場合とは
5.製造業の仕事に向いている人とは
6.応募の前にチェックしておく事
7.製造業の仕事に興味がある場合は、必ず職場を見ておく
8.まとめ
1.製造業の年間休日とその他業界の平均
年間休日とは会社が定めている【1年間の休日数の合計】です。
業種ごとの年間休日の平均は厚生労働省のホームページにも記載されています。
【企業平均年間休日総数の紹介】
全業種平均 | 107.9日 |
鉱業・採石業 | 103.8日 |
建設業 | 104.0日 |
製造業 | 111.4日 |
電気・ガス・水道業 | 116.8日 |
情報通信業 | 118.8日 |
運輸業・郵便業 | 100.3日 |
卸売り・小売業 | 105.7日 |
参考ページ:厚生労働省・平成30年就労条件総合調査の概要
全業界の年間休日の平均は【107.9日】となっている中、製造業の年間休日は【111.4日】なので、平均以上の年間休日数であることがわかります。
応募の前に確認しておくことで、業界平均と比べる事が出来る為、求人票のチェックを行う際には、必ず見ておくべき項目と言えます。
また、応募を検討している業界の、平均の年間休日を確認しておくことで、平均と比べて多いのか少ないのかという事を応募前に知る事が出来ます
企業規模による年間休日の日数
年間休日の日数は、企業規模によって変わる傾向があります。
社員数に対しての年間休日の平均は下記のとおりです。
1000人以上 | 114.9日 |
300~999人 | 112.5日 |
100~299人 | 110.3日 |
30~99人 | 106.4日 |
参考ページ:厚生労働省・平成30年就労条件総合調査の概要
統計によると、企業規模が小さい程、年間休日の数が少ない傾向にあることがわかります。
休みが多いと言われている製造業でも、小規模な企業の場合は当てはまらない場合がありますので、知人の紹介などで小規模な工場などに再就職を検討している方などは、事前に年間休日についてチェックしておきましょう。
2.製造業の働き方、休み方の特徴
製造業の仕事は、
・生産スケジュールを作成している
という特徴があります。
繁忙期を予想した生産計画を作成している
製造業では、
・工場全体の予測受注量
・工場全体の生産可能数量
・製品を作る為に必要な日数
・出勤する社員の人数
・繁忙の有無
などの情報を基に、生産管理と呼ばれる部署が作成した生産計画に沿って生産を行います。
※生産管理とは:営業の受注情報をもとに、現場の管理者と協力をして生産スケジュールの作成を行っています。
生産計画は、繁忙期などを事前に予測したうえで設定されていることから、残業や休日出勤をしなければ間に合わないような、無理のある生産計画を組むことは基本的にありません。
繁忙期が事前に予測されている生産計画がある
という特徴から、「忙しいから、明日の休日に出勤して欲しい」など、突発的な時間外労働は起こりにくく、働きやすい環境であると言えます。
残業時間が管理されている
残業をする場合でも、「仕事が終わるまで残業をする」という事は無く、年間を通して残業時間が管理されています。
生産計画に無い突発的な受注増などがあり、残業や休日出勤をする必要があったとしても、週単位・月単位で残業時間の調整を行い、休日出勤や残業時間を抑えるように調整を行っています。
このように製造業では、毎月の労働時間を管理するという考え方がある為、
「仕事が終わらない」という理由で、残業時間や休日出勤がどんどん増えていく、という事はありません。
多能工・チームプレーという働き方
製造業では、多能工と呼ばれる考え方があります。
多能工とは、一人で複数の工程の業務を遂行出来る社員の事を呼び、一つの専門作業を磨きつつ、周辺作業の習熟を目指す働き方です。
複数の業務が出来るようになれば、他の部署が忙しい場合、忙しい部署に助っ人として作業を行う事が可能ですので、繁忙期や突発的な病欠などが発生したとしてもサポートし合う事が出来ます。
また、製造業では数名から十名程度に分けられた班ごとのチームプレーとして仕事を行います。
仕事の完了に必要な業務量を生産スケジュールに基づいて計算し、チーム内で分担して仕事を行う為、
「自分だけ仕事が終わらないので残業する」
というように、一人に業務が偏る事なく、チーム・工場内で業務量を分散する事が出来ます。
出勤・休日にメリハリがある
製造業では工場に
・ベルトコンベア
・自動検査機
・製造機器
などの設備が設置されており、作業の効率化が図られています。
工場に設置されている設備は、家電などの簡単な電化製品とは違い
・稼働に多くの電気が必要
・スイッチを入れてから起動までに時間がかかる
・電源オン、オフの際に点検が必要
という場合があり、頻繁に電源のオン・オフを繰り返すような使い方をすると効率が悪い為、連続稼働させます。
このような事から工場では、
【働くとき】
・工場全ての機械をオンにして、全員で効率良く働く
【土日・長期連休などで休む時】
・工場全ての機械をオフにして、全員で休む
という、メリハリのある働き方をします。
GW・夏季・年末年始などの長期連休の時には、工場全体の稼働を止めて社員全員で休む為、よほど生産スケジュールに余裕が無い時以外は、長期連休中の休日出勤はありません。
3.製造業では工場カレンダーというスケジュール表がある
製造業では土日祝が休日扱いになっている一般的なカレンダーとは別に、
・工場カレンダー
という、工場の出勤日を記載した専用のカレンダーを作成しています。
工場カレンダーでは、
・祝日分の休日を長期連休に振り替えて日数をプラスする
・土曜日分の休日を長期連休に振り替えて日数をプラスする
など、会社の出勤日に応じて、休日を移動させるという調整しています。
※設備のメンテナンス担当である場合、
工場に設置されている、
・ベルトコンベア
・検査機
・製造機器
などの定期点検や掃除など、機械が止まっている間にしか出来ない作業がある場合は、土日や長期連休などに出勤し作業をする場合があります。
一定規模の工場には設備メンテナンスの作業をメインに行う社員がおりますので、メンテナンスに関わらない、生産に関わる業務であれ、基本的に土日は休みです。
※メンテナンス担当として土日や長期連休に出勤する必要がある場合は、休日を他の平日に振り替える為、他の社員と年間休日の日数は変わりません。
土日休みが基本だが、他の働き方もある
年間休日の日数が全業種に比べ多い製造業ですが、職場によって、
・土日祝休み
・土日休み
・シフト制
などの様々な休み方があります。
例えばシフト制の勤務では、工場での生産を止めない為に、日勤・夜勤を複数の班で交代して勤務する、
【4勤2休】というシフト勤務で働く場合もあります。
4勤2休の休みであっても、GW・夏季・年末年始の長期休暇で工場全体の機械を止める場合は、機械と同じスケジュールで休みとなります。
また、シフト制の場合、仕事が終わらない場合でも次のシフトに仕事を引き継ぐ事が出来ますので、「仕事が終わらないので残業・休日出勤する」という事は少ないです。
製造業の仕事では、シフト勤務の仕事であっても、GW・夏季・年末年始の連休がそれぞれ1週間以上ある、働きやすい求人も多くある為、勤務スケジュールや長期休暇の内容などを細かく確認し、再就職先を検討するべきと言えます。
4.製造業で休日出勤がある場合とは
工場では生産計画を基にした働き方を行う為、基本的に休日出勤というものは少ないですが、
・繁忙期である
・計画に無い突発的な受注増がある
・設備に不具合があり、メンテナンスに時間がかかってしまった
などの特殊な場合で休日出勤が発生する場合があります。
会社から休日出勤の依頼があったとしても、1週間~1か月前に出勤出来るかどうかの打診がある為、出勤を強制されるという事は基本的にありません。
5.製造業の仕事に向いている人とは
製造業の仕事は、生産スケジュールをもとにして働き、休日が多いため、
「働くスケジュールが決まっている方が良い」
「長期連休はしっかり休みたい」
「年間休日が多く働きやすい仕事を希望している」
という方であれば、条件面で不安に思う事は無いでしょう。
このように、製造業の仕事では待遇・条件の良さに目が向きがちですが、
・仕事内容の確認
・製造する製品の内容
という項目もチェックし、それを含めたうえで、仕事に興味を持てるかという事も確認しておきましょう。
「作っている製品に興味がある」
「製造の仕事に興味がある」
という方であれば、再就職後も仕事の内容に興味を持って働く事が出来る為、製造業の仕事に向いていると言えます。
6.応募の前にチェックしておく事
全業種の平均と比べると、働きやすい環境である製造業の仕事ですが、会社によっては、
・休日出勤が多い
・残業が多い
という事も考えられます。
製造業の仕事に応募する際には、下記の事柄について、チェックしておくべきでしょう。
・休日出勤についての確認
・工場カレンダーの確認
・残業の確認
・休み方の確認
休日出勤についての確認
求人票に記載されている年間休日が多かったとしても、休日出勤の数が多い場合、
「求人票に記載されている年間休日の日数分休めていない」
と、いうことにもなりかねません。
例えば、
- 年間休日125日 (休日出勤15日)
- 年間休日110日 (休日出勤0日)
という、業務の内容が全く同じである2種類の求人があった場合、
年間休日の日数だけでいくと、【②年間休日125日】の方に応募してしまいがちですが、年間の出勤日数を考えると、どちらも同じであるという事もありえます。
休日出勤を行う事で出勤分の給与や手当などが加算される為、給与面で損をすることはありませんが、
「入社前に考えていたよりも休日が少ない」
というミスマッチが起こってしまいかねません。
休日出勤の有無と、ある場合の休日出勤の日数については確認しておくべき項目です。
工場カレンダーの確認
ある程度の規模の製造業であれば、工場カレンダーが作成されています。
工場カレンダーによっては、一般の休日と違うスケジュールで休むという場合もあります。
例えば求人票の記載で、
・夏季休暇あり
という求人の場合、多くの方は3~5日程度の休日を思い浮かべる方が多いですが、会社によっては、
・夏季休暇あり、2日
という場合もあり、想像していたよりも日数が少ないという事も考えられます。
工場カレンダーがある場合は、長期連休を含めた1年間の勤務スケジュールのチェックが可能ですので、確認してくことで年間を通しての働き方・休み方をイメージする事が出来ます。
残業と働き方の確認
生産スケジュールに基づいて生産を行いますので、残業が多くなる事は基本的にありませんが、
・納期が迫っている
・突発的な受注増
などの理由から、残業が多くなってしまう事もあります。
製造業の場合、毎年の受注・生産データの情報から、残業が多い月や、職場の残業時間の平均などのデータがありますので、応募前に
・残業の多い月はいつ頃か
・年間の残業時間はどれくらいか
という情報を聞いたうえで、長く働き続ける事が出来るか、という事を検討すると良いでしょう。
また、残業が必要な場合、
・他の部署の応援があるのか
という点も確認しておくことで、残業しなければ作業が終わらないという状況になった時、サポートがあるのか事前に知っておくことが出来ます。
休み方の確認
シフト勤務の場合は実際の休み方について確認しておきましょう。
図のように4勤2休で日勤と夜勤がある場合、休み明けに夜勤の仕事からスタートする場合は、勤務日の夜まで休む事が出来ますが、夜勤明け方に仕事が終わった場合、次の日の早朝に仕事が終わります。
応募の際には、実際に仕事が終わる時間などを確認して、自分に合っている働き方か再度チェックしておくべきでしょう。
これらの内容に関しては、現職の自衛官の場合、援護担当の方を通して確認する事が出来ます。
既に自衛官を退職されている方であれば、応募の時に企業の担当者の方に確認しておくべきでしょう。
参考ページ:再就職方法の比較|自衛隊の基地援護室を活用するメリットとは
7.製造業の仕事に興味がある場合は、必ず職場を見ておく
製造業の仕事は、休みが多いなど、働きやすい環境である事が多いですが、求人票の情報だけで再就職先を決めてしまうと、
「働く前のイメージと違う」
「年間休日ばかり気にしていて、仕事について調べていなかった」
など、ミスマッチが発生しかねません。
工場で働いた事の無い方であれば、面接を受けるタイミングなどで、職場見学をして、実際に働く環境について、事前に知っておく必要があると言えます。
職場見学を行い、実際に自分が働く姿をイメージしながら、「仕事の内容が自分に合っているか」、「長く働き続ける事が出来るか」、という点を深く考える事で、入社後のミスマッチを防ぐことが出来ます。
面接の際に職場見学が出来る会社は多いので、求人に応募する段階で職場の見学が可能か担当者に聞いておくと良いでしょう。
定年退職や任期満了が控えている現職の自衛官の方であれば、援護担当の方が企業に職場見学の打診をしてくますので、相談しておくべきでしょう。
参考ページ:攻めの再就職|自衛官の職場見学の方法とチェックすべきポイント
8.まとめ
製造業の求人票では、年間休日125日以上のものが多くあります。
一見すると働きやすい環境であるように感じますが、
・チームプレーであること
・休日が工場カレンダーによって決まっていること
など、人によっては働きづらいと感じる場合も考えられます。
自衛官の再就職先は、定年まで続けられる仕事を選ぶことが成功と言えますので、求人票の情報だけで再就職先を検討することなく、職場の見学をしたうえで応募をすると良いでしょう