再就職を迎える自衛官必見!|資格の選び方 3ステップ

自衛隊に在籍している間に、資格を取る理由として、この3つのケースが多いと思います。

【ケース1】職種上、資格を持っていないと業務に支障がでる

(例)輸送科に所属していたので、大型自動車免許の資格を取得した

【ケース2】所属部隊の仕事に関係する資格を、スキルアップとして取る

(例)所属部隊の仕事に関係する国家資格を、自らのスキルアップの為に取得した

【ケース3】再就職を見据えて、資格を取る

(例)再就職はマンション管理の仕事が希望の為、マンション管理士の資格を取得した

【ケース1】~【ケース2】のように、既に取得していた資格を活かす人や、

【ケース3】のように、退職約3年前からの就職援護の制度を活用して、計画的に資格を取得する方の2種類に分けられます。

ここでは特に、再就職に向けてこれから資格を取得されようとする方に、資格の選び方と、注意点についてまとめました。

参考ページ:民間企業と自衛隊を比較|仕事で必要な資格の取得について

まず資格の種類を知る

資格は大きく分けて、「国家資格」「公的資格」「民間資格」の3つに分けられます。試験の合格率や、信用などが資格によって大きく違います。この3つは理解し、混同しないように注意しましょう。

1. 国家資格

法律に基づいた国家試験などにより、個人の能力や知識や技能などが一定水準に達していることを、行政が認定したものです。

受験資格として、年齢・学歴の制限が設定されているものもあり、総じて試験の難易度も高く、取得には十分な準備が必要です。

そのかわりに、社会的信用が最も高く、資格が無ければその仕事が出来ない職業(医師・薬剤師ほか)も多く存在します。国家資格は再就職の時に一番役立つ資格と言ってよいでしょう。

国家資格 2つの種類

※1. 業務独占資格

資格を取得しなければ、そもそもその仕事を行うことができない。

(医師・弁護士・公認会計士など)

※2. 名称独占資格

資格を持っていない人でも仕事は出来るが、

資格を持っていないと、その肩書を名乗ることができない。

(栄養士・調理師・保育士など)

2. 公的資格 (例)秘書検定、ビジネス能力検定、簿記検定、販売士検定など

国家資格と民間資格の中間に位置する資格です。

地方自治体や公益法人などの民間団体が、法律とは関係なく試験を行っています。

国家資格のように法律で規定された資格ではありませんが、社会的信用や知名度の高い資格が数多くあり、資格を取得することで、一定の能力を証明することができます。

国家資格ではないので、法律による決まりや規制はありませんが、社会的信用も知名度が高い資格が多いと言われています。再就職の時に、応募する仕事とマッチしている資格を持っていれば、十分アピールの材料になるでしょう。

3. 民間資格 (例)TOEIC、TOEFL、整体師など

民間団体や企業が独自の審査基準を設けて認定する資格です。

法律による規制がないので、国家資格や公的資格に比べて、資格の数が非常に多くなっており、専門性の高い資格が数多くあることが特徴です。

TOEICなどの資格は社会的信用や知名度も高いので、スキルの証明に有効な資格ですが、中には社会的信用も知名度も無い資格も存在します。

再就職の時に、民間資格の取得を考える場合は、その資格の社会的信用や知名度を考慮したうえで、受験に臨みましょう。

資格の選び方 3ステップ

実際に資格取得に取り組む時には、下記のように資格に対しての考えや、取得までの道筋、その後の予定が明確でなければなりません。

ステップ1 「資格がなぜ必要なのか」

ステップ2 「資格を取った後どうしたいのか」

ステップ3 「取得にかかる費用や難易度」

「資格がなぜ必要なのか」→大型トラックの運転士になる為、大型免許が必須

「資格を取った後どうしたいのか」→ゆくゆくは、けん引免許、2種免許を取得しスキルアップしたい

「取得にかかる費用や難易度」→費用は30万円、業務で普通免許サイズのトラックには乗っていたので、教習所での運転と学科試験に対して不安は無い。

このように、資格取得の必要性や、取得までの道筋、その後の予定などの考えをまとめて、自分で納得出来る内容であれば、資格の取得に取り組んでいきましょう。

「何となく」という気持ちで資格取得は目指してはいけません。

「再就職で役に立ちそうだから、とりあえず資格を取る」「フォークリフト運転技能の資格を持っていれば、つぶしが利きそう」などの安易な考えで、資格取得を目指すことはオススメしません。

「とりあえず資格を取得したけれど、この資格が役立つような仕事に興味を持てない・・・取る意味が無かった・・・」など、お金と時間を無駄にする可能性が非常に高いので十分注意するべきです。

参考ページ:自衛官の再就職|フォークリフトの資格・仕事とは?

参考ページ:自衛官の再就職|ボイラー技士の資格・仕事とは?

資格を再就職の武器として選ぶ場合の注意点

再就職先を選ぶうえで、国家資格の取得が必要な仕事が希望であれば、資格について念入りに調べてから、資格取得を目指してもよいでしょう。

ただ、「資格がなくても仕事は出来ます、でもあった方がいい」という公的資格や民間資格については、その資格を取得するべきか、しっかりと考えるべきです。

資格取得した後の事も考える

人によって資格取得の理由や目的はさまざまです。

・自分自身のスキルアップのため

・再就職活動に役立てたい

・業務で携わることになったから

・資格手当をもらいたいから

・職場の方針

どのような場合でも、資格を活かせる環境で働くか、自ら進んで使わないと、取得した意味がありませんし、せっかく覚えた内容も忘れてしまいます。

資格を取得する時には、ただ取得することだけを考えるのではなく「資格を取得した後に上位の資格にチャレンジ出来るか」「スキルアップに繋がるか」など、長期的な視点で資格取得を考えるとさらによいでしょう。

資格を自衛隊の職業訓練や、術科学校等で取得する時の心構え

自衛隊には、職業訓練(技能訓練・通信教育)や術科学校等、自衛官の皆さんのスキルアップの為に、あらゆる資格を取得できる制度があります。

今の業務に必要な資格は術科学校等で取得出来て、退職前には職業訓練(技能訓練・通信教育)により、あらかじめ指定された資格の中から、取りたいものを選択し取得できるようになっています。

 ※職種学校・術科学校等:任務遂行に必要な技能を身に付ける為の自衛隊の学校

術科学校等の場合は、資格取得する理由も明確で、資格取得の手厚いサポートもあることから、資格取得までに挫折する方は少ないでしょう。

しかし、退職前に職業訓練(技能訓練・通信教育)で資格取得を目指す方の中には、「退職前に資格を取得しようと職業訓練を始めたものの、終了までたどり着かない」という方が少なくないようです。

一般的に途中で挫折する場合、これらの理由が多いようです。

「仕事が忙しくて時間がない」

「始めたものの内容が難しい」

「自分の思ったイメージと違う」

この理由の原因は下記のような、目的意識が足りなかったり、確認不足などが招くことが多いと言われています。

「仕事が忙しくて時間がない」

【原因】

「資格がなぜ必要なのか」を深く考えなかった為、本気で取りたいと思ってチャレンジはしていなかった。

自分にとって必要な資格だと感じていれば、1日15分だとしても時間を作っていたのではないでしょうか。

「始めたものの内容が難しい」

「自分の思ったイメージと違う」

【原因】

「取得にかかる費用や難易度」や「資格を取った後どうしたいのか」ということについての調査不足。インターネットで資格名を調べれば、合格者の体験記などが載っているサイトや、資格取得に挑戦した個人のブログなども多くあります。また、書店で資格の教本を少し読んでみたり、援護の方含めて周りの隊員に資格について聞いて、情報を集めることも出来たのではないでしょうか。

限られた時間やお金を使い取得する資格です。

資格を取る必要性をじっくり考え、興味本位や軽い気持ちで選択だけはしないようにしましょう。

資格取得を目指すことで、今の生活に変化をもたらす

資格取得の結果は別として、資格を取ろうとする過程で、学ぶ姿勢や物事の取り組み方に変化があると言われています。そして、結果として取得した資格を武器に目的を達成した人には、次のような変化を感じると言われています。

1. 自信をもって仕事に取り組める

2. 家族や会社から良い評価を受けた

3. 社会的信用が高くなった

4. 達成感や満足感を得られた

5. 勉強時間を確保したりすることで、時間管理能力が身に付けられた

6. 以前より持続力、忍耐力、集中力が身に付いた

7. 時間の使い方を工夫する事で、ライフスタイルや家族、会社との関係を見直せた

8. 資格取得を通じて様々な人たちとの交流や情報交換を得た

9. 自分を見つめ直し、自己の能力や経験、価値観を把握できた

10. 最終目標を定め、その達成に向けての計画を立てられた

以上のように、資格を取得することは、単にその資格を取ったというだけではなく、再就職に役立つ、多くのよい変化をもたらしてくれるでしょう。

最後に

資格を取得するにはそれ相応の時間とお金を費やすことになります。

それが、例え援護制度を活用した取得方法でも、

「資格がなぜ必要なのか」

「資格を取った後どうしたいのか」

「取得にかかる費用や難易度」

など、資格取得にとりかかる前に、じっくり考えて、本当に必要な資格を、確実に取れるように、準備を行いましょう

参考ページ:民間企業と自衛隊を比較|仕事で必要な資格の取得について