自衛官の再就職|年俸制の給与とは?
民間企業の給与体系には
年俸制・月給制・時給制の3つがあります。
月給制は、
・手当や残業代を含めた給与が毎月支払われる
・業績に応じて、月給とは別に賞与が支払われる
という特徴があり、日本の一般的な給与の支払い方です。
民間企業には月給制とは別に、年俸制という給与の支払い方が存在します。
自衛官を含め、日本の多くの企業で毎月給与が支払われる月給制を採用しており、給与の支払い方として定着している為、イメージしやすいのではないでしょうか。
野球選手など、スポーツ選手が年俸制を採用しており、再就職先の職種では管理職やエンジニア、顧問などが挙げられます。
月給制と違い残業代や手当が年俸の中に含まれている事があるので、
「働いている割に給与が少ない」
「繁忙期の頑張りなどが評価されていないように感じる」
「ノルマに追われているような気がする」
など、働き始めてから不満を感じてしまう危険もあります。
ここでは、再就職先に年俸制を取り入れている会社を検討している方に向けて、
・年俸制の仕事の注意点
・チェックしておくべきポイント
などの年俸制の給与について解説を行います。
参考ページ:自衛官の再就職|民間企業における昇給の考え方とは?
1.年俸制とは
2.年俸制の給与・ボーナスの支払いについて
3.年俸制に残業代はあるのか
4.まとめ
1.年俸制とは
年俸制とは、給与の額について、1年間に支払われる金額をあらかじめ決めておく契約です。
例えば年俸制の仕事で内定となった場合、まず初めに雇用契約の内容について会社側と相談を行います。
年俸の金額や手当などの諸条件を含めた雇用契約を、会社側が内定者に提示を行い、提示された契約内容でお互い合意となれば、入社決定となります。
年俸制の働き方とは、入社時に合意した条件で働く契約と言えます。
月給制を取り入れている企業では仕事の成果を出せばボーナスなどで還元されますが、基本的には仕事内容や、勤続年数に応じ任される仕事が増えるにつれて、給与額が増えていくという仕組みです。
一方、年俸制は管理職やITエンジニアなど、仕事の成果を重視する仕事に使われている給与支払いの方法であり、役職や勤続年数、仕事のプロセスというよりは、社員一人一人のスキルや成果に見合った金額設定がされています。
例えば入社2年目などであっても、売上げや利益へ大きく貢献すれば、翌年の年俸アップが期待できます。
成果が芳しくない場合は、翌年度の年俸額が少なくなってしまう事も考えられますが、個人の成果に応じて分かりやすく給与に反映されるシステムであると言えます。
自衛隊の時に比べると、年俸制の仕事の場合は、より成果主義的な仕事と言えるでしょう。
参考ページ:自衛官の再就職|民間企業における昇給の考え方とは?
2.年俸制の給与・ボーナスの支払いについて
年俸制の仕事は、「1年に1回、一括で給与が支払われる働き方である」と考えている方も一部いらっしゃるかと思いますが、実際はそうではありません。
給与の支払いについては労働基準法で「毎月1回以上支払わなければならない」と定められており、年俸制の場合でも、月給制と同じように毎月給与の振込が行われます。
年俸制の場合は、年収にボーナスを含めて支給する事があり、支給の方法は下記3つのパターンがあります。
・年俸を12カ月で割って、毎月支給
・年俸を14カ月で割って、12カ月分を毎月支給、残り2か月分をボーナスとして支給
・年俸を12カ月で割って、ボーナスは成果に応じて別途支給
※ボーナス支給の有無・支給の方法については、会社の【就業規則】で定められたルールに則って定められています。
年俸を12カ月で割って、毎月支給
ボーナスを含む年俸を12月分に分割した金額が、毎月支払われる方法です。
年俸制の仕事では、年俸とボーナスの金額を事前に決めますので、会社は「これくらいの成果は出してくれるだろう」という期待を込めた金額の設定をしています。
ボーナスを含めたすべての金額を分割で受け取る為、毎月の収入が一定になります。
年俸を14月分で割って、12月分を毎月支給、残り2月分をボーナスとして支給
ボーナスを含んだ年俸を14月分で分割したうえで、そのうちの12月分を毎月支給し、残りの2月分を夏・冬のボーナスとして支給する方法です。
※会社によって、14月以外の月数で割る方法もあります。
年俸の中にあらかじめボーナス分の給与が含まれていますが、夏・冬のボーナス支給のタイミングで、月給とは別にボーナス分の給与が支払われます。
月給制と同じタイミングでボーナス分の給与が支給される為、給与の受け取り方が月給制とほぼ変わりません。
年俸を12月分で割って、ボーナスは成果に応じて別支給
年俸の中にボーナス分の給与が含まれていない方法です。
会社が社員の成果を勘案したうえで、夏・冬のボーナスの額が決定され、月給とは別にボーナスが支払われます。
月給制と同じようにボーナスの額は成果に応じて上限する為、年収の額が成果に応じて増加します。
※年俸制は1年間の給与を契約時に決める事多い為、この方法を採用している企業は少ないです。
年俸制の仕事に応募する前には、
・支給方法
・ボーナスが含まれているか、含まれていないか
などをチェックしておくと、月々の収入にイメージしやすいと言えます。
3.年俸制に残業代はあるのか
年俸制の仕事では残業代が出ないと思っている方が一部いらっしゃいますが、年俸制であっても、残業が発生すれば会社は残業した分の残業代を支払う必要があります。
しかし、雇用契約の中で、固定残業代として既に年俸の中に残業代が組み込まれている場合は、規定時間以上の残業をしなければ、残業代が発生しません。
例えば、雇用契約書に「毎月40時間の残業代を含む」と記載されている場合、40時間分の残業代について、既に年俸の中に含まれています。
なので、40時間を超えて残業しなければ追加の残業代は支払われません。
基本的に雇用契約書で定められた時間以上に残業した場合、残業代が別途支払われますが、勤怠管理のずさんな会社や社員が年俸制について理解していない場合、規定通りの残業代が支給されないという事も最悪の場合考えられます。
小規模の会社などでは「年俸制であれば残業代が発生しない」と勘違いしている場合もあり、会社が払う残業代を削減する為に年俸制を採用しているという悪質なケースも一部存在します。
援護室やハローワークに掲載されている求人票には、必ず残業時間と固定残業代についての記載がありますので、チェックしておきましょう。
※深夜勤務手当について
事前に1年分の給与を決める年俸制であっても、夜10時~翌朝5時までの深夜勤務については、深夜勤務手当が支給されます。
仮に年俸制の仕事で深夜勤務を行った場合、月給制の社員のように、働いた分の深夜割増手当が年俸の金額とは別に支給されます。
参考ページ:自衛官の再就職|民間企業の残業の基礎知識と応募前のチェックポイント
4.まとめ
年俸制とは、仕事の成果や個人のスキルを重視した給与の払い方なので、今までの仕事の経験やスキルが即戦力としてすぐに使える場合、現職の時と変わらない水準の給与になる事も考えられます。
ただし年俸制の場合、最終的に求められているものは「仕事の成果」なので、成果を残せない場合は、翌年度の年俸が下がってしまう場合もあります。
今までの仕事の経験やスキルを活かして、「成果を評価して欲しい」という方に合った働き方と言えますが、反対に「成果と同じ程度に仕事のプロセスも評価して欲しい」という方には合わないとも言えます。
・月給20万円の仕事
・年俸350万円の仕事
という2つが選択肢としてある場合、単純に月給の金額を12月分で掛け算して、年俸と比較するのではなく、残業代は含まれているのか、手当が含まれているのか、ボーナスは含まれているのか、ということを確認し、月に受け取るお金をイメージしたうえで入社の判断をするべきと言えます。
年俸の金額は手当や残業代込みの額が記載されている事が多く、魅力的な額になっている場合があります、金額だけでなく自分が希望する仕事の進め方も考えておく事で納得のいく再就職が出来ると言えるでしょう。